2024年07月02日掲載
聴覚・言語障がい者に関するクエスチョン
Q:新しい手話はどのように作られるの?
A:
新しい手話は、厚生労働省からの委託を受けた社会福祉法人全国手話研修センターの手話言語研究所が作ります。同研究所は、標準的な手話を研究・検討し、公開・普及する役割を担っていて、2023年度は「基本的自由」「合理的配慮」など60単語の手話が作られました。
また、手話は時代に合わせて表現が変わることも。
例えば「テレビ」の手話は、チャンネルを切り替えるダイヤルを回すしぐさで表現していましたが、今は液晶画面を表すしぐさで表現します。
「ヤバい」「インスタ映え」などの音声言語の流行語に合わせて、さまざまな地域や聴覚障がい者のコミュニティで手話表現が生まれ、次第に一つの表現に定着していくこともあります。
Q:聴導犬はどんなサポートをしてくれるの?
A:
聴導犬は、聴覚障がいのあるユーザに、知る必要のある音が鳴っていることを教えてくれます。
玄関のチャイム・ファックス受信音・キッチンタイマー・赤ちゃんの泣き声・車のクラクションや自転車のベル・非常ベルなどの音を聞き分けて、ユーザに知らせることができ、状況に応じ音源へ誘導します。サポート中は「聴導犬」の表示をつけています。聴覚障がいは外見から分かりづらいですが、この表示により、周囲の人が聴覚障がい者であることを認識し易くなります。
盲導犬や介助犬と同様に、身体障害者補助犬法に基づいて認定されており、障がい者の自立と社会参加を促進するための大切なパートナーです。受け入れにご理解をお願いします。
Q:聴覚障がいの人もカラオケに行くの?
A:
聴覚障がい者の中にも、カラオケが好きで歌いに行く人もいます。
歌の上手い下手は関係なく、思い切って歌うことでストレスを発散する人や、カラオケの画面に流れてくる歌詞を楽しむ人などがいます。
また、カラオケのシステムによっては、音程やリズムを正確に補正して視覚的にガイドしてくれる機能があります。その機能を設定すると、画面に曲の歌詞と音程ガイドが同時に出るので、聴覚障がいの人でもリズムを取りながら歌うことができます。カラオケの楽しみ方は人それぞれですね!
Q:耳が聞こえない人って独り言も手話でするの?
A:
手話を第一言語としている聴覚障がい者は、独り言を手話でします。
内容も人にわからない程度に手話をする人もいれば、スーパーなどで献立を考えるときについつい手話が出てしまうこともあります。ちなみに「寝言」においても同様です。
Q:聴覚障がいの人は、映画・舞台・コンサートなどを楽しめるの?
A:
さまざまな工夫がされていて、聴覚障がい者も楽しむことができます。
邦画でも日本語字幕がついている映画、字幕が表示されるタブレットの貸出し、舞台手話通訳者が出演する舞台があります。
また、最新テクノロジーを活用して音を振動に変えて楽しむコンサートが行われることもあります。
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Q:補聴器を使用している人はイヤホンを使えないの?
A:
補聴器使用者向けのイヤホンがあります。
耳かけ式、耳穴式を問わず使用できる汎用型磁気誘導コイルで、テレビやオーディオの音をより良い音で聞けるように、音声信号を補聴器に直接伝えてくれます。
最近では、難聴や片耳だけ聴こえない人向けに骨伝導のイヤホンも登場してきています。
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Q:ニックネームを表す手話はあるの?
A:
「サインネーム」というあだ名のような手話表現があります。
本人の名前や特徴的な見た目、性格や癖、しぐさなどをもとにした簡単な手話やジェスチャーで表現します。
聴覚障がい者同士の会話の中で、流行したお笑い芸人のポーズがそのままその人のサインネームになる場合もあります。
Q:乳児に聴覚障がいがあるかどうか調べる方法はあるの?
A:
通常、生後3ヶ月頃までは脳が正確に音の情報を処理できず、突然の大きな音に反射的に反応するぐらいです。そのため、すぐには聴覚障がいがあるかどうかを調べることは難しいです。
しかし、入院中または生後1ヶ月健診の際に「新生児聴覚スクリーニング」という先天性代謝異常等検査と聴覚検査をして乳児の聴力検査をしてくれる医療機関もあります。この検査を受けると、先天性の難聴があるかどうかを知ることができます。自治体によっては、費用の一部を公費負担しているところもあります。
Q:筆談をするときに気を付けることは?
A:
筆談は簡潔でわかりやすく伝えてください。
例えば「明日の朝は、8時10分前に○○駅の南口に集合です」という文章では伝わりにくいです。
8時10分までに集合すればいいのか、7時50分までに集合すればいいのか、人によってとらえ方が異なってしまうかもしれません。
例えば、下記のように:
・日時:明日
・集合場所:○○駅(南口改札前)
・集合時間:7時50分
といった箇条書きにするなどの工夫をすることをおすすめします。
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Q:聴覚障がい者はどのようにして読話を身につけるの?
A:
読話とは相手の口の動きを読み取る(読唇)と同時に、会話の前後の流れや過去の経験などが活かされる、聴覚障がい者のコミュニケーション方法の一つです。
読話の基本である読唇は、発声練習の過程で身につけていく人が多いです。両親や先生の口の形や動きを見ながら、自分でまねて発声するという訓練で口の形を覚えていきます。
このように読話は、口の動きを読み取ることが基本です。そのため、複数の人が同時に話したり、相手の口元がマスクなどで隠れたりしていると、発話の内容を読み取ることが難しくなります。
聴覚障がい者と話すときは意識して口が見えるようにしてください。
Q:聴覚障がいの人はドライブスルーを利用するの?
A:
ある程度、聴力を活用している人であれば、通常通り利用できます。
しかし、全く聞こえない人にとってドライブスルーの注文は難しいです。そのため、同乗している聞こえる人に代わりに注文をしてもらうといった工夫をしています。
アメリカの某コーヒーショップでは、メニューのモニターに手話ができる店員が表示され手話で注文をすることができる店舗もあるようです。
Q:ろう学校では英語の授業はどのようにおこなうの?
A:
英語をホワイトボードに書いたり、モニターに映し出したりして勉強します。
ろう学校によってはASL(アメリカ手話)ができる先生がいる場合もあります。
ASLのできる先生がいる学校では、文法以外の英単語表現はASLを使い、読み方は指文字などを使い指導をします。
また、英語検定のリスニングテストは、音声ではなくテロップをモニターなどに映し出して実施するなど工夫がされています。
Q:補聴器って防水なの?
A:
防水型補聴器は徐々に増えてきましたが、少ないのが現状です。
補聴器をつけたままシャワーを浴びてしまってうっかり壊してしまうこともあります。
それ以外にも、スポーツなどで汗をかいて壊れたり、ポケットに入れたことを忘れて洗濯してしまったりと、壊してしまうケースはさまざまです。中には、飼い犬に舐められて壊された!なんて人もいます。
防水・防じん性能を搭載した機種を選べば、汗や水、ホコリの侵入に原因による故障のリスクを軽減することができますが、完全防水ではないので注意が必要です。
Q:聴覚障がい者の中には口話で会話の内容がわかったり健聴者と同じように話せる人がいますがどうやって覚えるの?
A:
幼少期から両親の口の動きと文字による教育を受けている人が多いです。例えば、家の中にある物にその名称を書いた紙を貼ったり、日常の動作を言葉にするなど、遊びながら徐々に覚えていきます。
そのほか、病院で言語聴覚士による訓練をして言葉や発話を覚えたり、支援学級などに通い、口や舌の動き、息の出し方などを一つひとつ地道に覚えて話せるようになる人もいます。
Q:聴覚や発話に障がいのある人がスマートフォンやクレジットカードなどを紛失したときはどうしてるの?
A: 聴覚や発話に障がいがあり、電話をすることが難しい人がスマートフォンやクレジットカードを紛失した際は、電話リレーサービスを利用して本人確認を行い、停止してもらいます。
最近では、電話リレーサービスで本人確認が可能な携帯事業者やクレジット会社が増えてきています。
これまではメールやFAX、郵送などで時間がかかってましたが、便利になってきています。
「電話リレーサービス」に関してはこちら
Q:耳にかけて利用する補聴器と集音器は何が違うのですか?
A: 補聴器と集音器は似ていますが、全く違うものです。
補聴器は個々の耳に合わせて製作するもので、耳掛け型や耳穴型などの種類があります。集音器は既製品で必ずしも利用者の耳に合うとは限りません。
また、大きな違いは補聴器は管理医療機器ですが、集音器は医療機器ではありません。そのほかにも、補聴器は雑音の中でも言葉だけをクリアにする機能やハウリングを抑える機能がありますが、集音器はそれらを調整をすることができません。
Q:電話リレーサービスとはなんですか?
A: 聴覚障がい者が電話をするときに使えるサービスです。
パソコン・タブレット・スマートフォンを通して、通訳オペレーターが「手話」または「文字」で通訳することで、リアルタイムで電話をつなぐことができます。
また、羽田空港や新千歳空港などに設置されている「手話フォン」は、この電話リレーサービスを使ったもので、手話を使って公衆電話のように電話ができます。
しかし、現在「110」や「119」といった緊急通報に対応していなかったり、サービス提供時間もまちまちだったりと課題もまだあります。(2020年2月現在)
Q:手話と筆談以外のコミュニケーション方法はあるの?
A: 口話やジェスチャーを用いて聞こえる方とコミュニケーションを取ります。
しかし、聴覚障がい者は聞こえなくなった時期や場所によって聞こえ方はさまざまなので上記のようなコミュニケーション手段は限界があります。
最近では、スマートフォンやタブレット端末で音声をテキスト化してくれる無料アプリがあります。
1対1の会話や大人数での会議等まで、さまざまな人とコミュニケーションを図ることができます。
こちらのアプリは外国語にも対応しているため、聴覚障がい者のみならず、海外の方との会話にも活用することができます。
Q:聴覚障がいの人は自動車の運転ができるの?
A: 2008年6月1日に改正されてた道路交通法で、聴覚障がい者であっても以下の条件によって「普通自動車」の免許を取得することがでるようになりました。
補聴器を利用して10メートルの距離から90デシベルの警音器が聞こえるか、死角が極力なくなるよう「ワイドミラー」や「補助ミラー」を着けること聴覚障がい者が運転していることを周りに知らせる「蝶々のマーク」を車両前後の定められた位置に張ることが条件となっています。
Q:傘をさしているような片手がふさがっている状況で、手話はできないの?
A: 両手を使わないと表現しにくい手話もありますが、片手でも手話で会話ができます。
手話は手だけで話すイメージが強いですが実はそうではなく、目・口・眉など顔の動きや、首・肩の動かし方なども大事な要素です。 そういった要素も使いながら、片手がふさがっていても手話でコミュニケーションがとれます。
また、一文字ずつ手の形で示す「指文字」という方法もあり、これは片手だけで表すことができます。
Q:小中学校の音楽の授業を聴覚障がいの人はどのように受けていたの?
A: 音楽の授業は、聴覚に頼らず他の感覚を利用し手拍子のリズムに合わせて演奏するなど工夫して行われています。
また、歌を歌う際には声を発する代わりに歌を手話で表現します。
最近では、聴覚障がい者向けの音楽教育の支援機器がいくつか開発されており、先生が教えたいテンポやリズムを、複数の生徒に対して光と振動を通して同時に伝えることができる卵型と指揮棒型の支援機器を試験的に導入しています。
Q:聴覚障がいのある人がスポーツで試合をするとき、ホイッスルの音とか聞こえないのでどうしているの?
A: 試合開始のホイッスルや号砲が聞こえないので、旗や光を使うなどの工夫をしています。
例えば、サッカー競技の場合、副審だけではなく主審も笛を吹く以外に旗を使用します。
また、水泳競技や陸上競技の場合は、光でスタートや判定を知らせるためフラッシュ機器を使用します。
Q:聴覚障がいのある人は電話をするのが難しいと思いますが、緊急時の連絡はどうしているの?
A: 電話をするのが難しい聴覚障がい者の場合、昔は、聞こえる人に通報をお願いするしかありませんでした。 近年では、自治体にもよりますが、FAXやメールで通報できるシステムが整備されてきています。聴覚や言語に障がいがある人を対象にした緊急連絡専用アプリも登場しています。
例えば、自治体によっては「NET119緊急通報システム」を導入し、簡単な操作で素早く119番通報することができます。緊急通報を受けた消防が通報者へ身体の状態を問いかけたり、消防が到着するまでの処置を伝えるために、文字によるチャット形式でやりとりができます。
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Q:聴覚障がいの人は、来客があるのをどうやって知るの?
A: 人によってはチャイム音などが聞こえないため、訪問者が玄関先の押ボタンを押せば、室内の本体から音とともに光が点滅して来訪者のあることを知らせてくれる機器を使用します。
また、「光」だけではなく、文字や振動で知らせてくれる機器を使用する人もいます。
Q:手話って世界共通なの?
A: 手話は国々によって異なります。
なぜなら、手話はそれぞれの国の生活や文化と深く関わっているものだからです。
例えば、日本の「ありがとう」という手話表現は、日本の国技である相撲から、力士が懸賞金を受け取る動きをもとに生まれました。
アメリカでは、投げキッスの動きで「ありがとう」を表します。
世界ろう者会議やデフリンピック(注1)など、公的な国際交流の場では、国際手話というものが使われています。
(注1)聴覚障がい者だけの「オリンピック」。
Q:聴覚障がいの人は、テレビや映画の音が聞こえなくても楽しめるの?
A: 全ての番組についているわけではありませんが、最近は字幕付きのテレビ番組や映画が増えているため、字幕を読んで内容を理解しています。
字幕は、リモコンにある「字幕」ボタンを押して利用します。
最近では手話放送の番組や有料の専用番組などもあるため、そこから情報を得て楽しむこともできます。
Q:聴覚障がいの人は、目覚まし時計が聞こえないけど起きる時はどうしているの?
A: 聞こえ方によって異なりますが、大きい音であれば聞こえる人もいます。
振動式の目覚まし時計を使って起きる人もいます。
その他、携帯電話のバイブや、時間になると膨らむ枕を利用する人もいます。
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Q:聴覚障がいの人は、お店で注文するときどうしているの?
A: 紙に書いて渡したり、携帯している筆談ボードを見せたり、携帯電話のメモ帳などに文字を入力して注文したりと、それぞれの方法を使っています。
最近は、タッチパネルの端末で注文するところも増えています。
また、手話のできるスタッフがいるお店などもあります。