聴覚障がい者だけで営業する人気のラーメン店「麺屋 義」

2022年11月22日掲載

寒くなると「ラーメンが食べたくなる!」という人もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回は、ろう者のスタッフだけで営む「麺屋 義(よし)」をご紹介します。
東京都の西日暮里駅近くにあり、美味しいお店としてメディアに紹介される人気店です!店主の毛塚さんにラーメン店を始めるまでの経緯や、一緒に働くスタッフに望むことなどを伺って来ました。

写真:お店の前で店主の毛塚さんと車いすユーザの編集部員が鍋のディスプレイでポーズを取っている

自分で店を持ちたいと決心するまで

画像:インタビューに手話で答えている毛塚さん

先天性の感音性難聴(注1)の毛塚さんは、手話や筆談で普段のコミュニケーションを取っています。
最初に就いた職は、群馬県にある自動車工場のライン作業でした。しかし、なかなか職場環境に馴染めずに東京へ!
その後はテーマパークを運営する会社で働きましたが、途中から土日休みが取れなくなり退職。

土日休みは、昔から好きだったプロレス観戦のためにどうしても譲れない条件だったのです。それからパソコンのスキルを身に付けるため職業訓練校に通うも希望する仕事は見つからず、配送の仕事に就くことになりました。週末には、相変わらずプロレス観戦のため、全国各地を巡っていたそんなある日のことです。

ろう学校時代の先輩2人が、プロレス団体に申し込みをしたら「耳が聞こえないとちょっと…」と、障がいを理由に断られたということを知ったのです。プロレスラーになりたくてもなれない、「それなら団体を作ってしまえ!」そう思った毛塚さんは、2006年にろう者のプロレス団体を起ち上げ、活動を開始しました。

配送業とプロレス団体の代表という二足のわらじを履き、そんな生活を10年ほど続けていた頃、毛塚さんには一つの夢ができました。その夢は「自分の店を持つこと」です。
(注1)内耳やそれより奥にある中枢の神経系に障がいがある状態。

ラーメン修行とお店を開店するまで

初めてのお店は居酒屋をイメージしていましたが、お酒が飲めないから向いていないと周囲に言われ断念。それからしばらく、何の店にするか悩まされる日々が続きました。
ところが、ある日偶然テレビで「ラーメンの学校」があることを知ったのです。

もともとラーメンが大好きだった毛塚さんは「これだ!」と思い、すぐに申し込みをしました。しかし、「ろう者だから無理…」と、あっさり断られてしまいました。

そこで、手話通訳者を同行したいと伝えると、その場合は2人分の授業料が必要との回答だったため、毛塚さんは、1人で通うことを一大決心!
そんな熱意が通じたのか、3度目の申し込みでやっとラーメンの学校へ通えることになりました。

ラーメン学校は2週間の短期集中型。入寮して四六時中スープや麺の作り方、開店までの流れについて学ばなければなりません。
分からないところは常にメモを取る、授業後に先生に筆談で教えてもらう、同寮の人にノートを書き写させてもらうなどして対応したそうです。

卒業まで残りわずかというところ、自作のラーメンをお客さんに食べてもらい、順位を決めるという課題が出されました。生徒6人中、毛塚さんは、なんと見事1位を獲得!その自信が「お店をやろう」という決心につながったのです。
そして、2016年8月25日、念願のラーメン店「麺屋 義」をオープンしました!

画像:麺屋義の筆文字のロゴと味玉やチャーシューが乗った醤油ラーメン

お店のこだわりとスタッフに望むこと

画像:スープが透き通ったレモンラーメン

お店のこだわりの一つは、聴覚障がいに関係なく仕事をするということ。
二つ目は、自分流の今まで食べたことのないようなラーメンを作ること。最近では、麺を作る機械を購入したので、オリジナルの麺を作ることが課題となっています。

また、開店後困ったことは、お店が混み合うとお客さんの出入りに気づけないことでした。そのため、お客さんが入って来たら「いらっしゃいませ」、出て行ったら「ありがとうございました」と、自動で音声が流れるようにしました。

話しかけられることが多かったため、発券機の上に「麺かため」「麺やわらかめ」「こいめ」「うすめ」「ネギ抜き」「メンマ抜き」と書かれた注文札も並べ、一緒に出せる工夫もしています。

画像:厨房からみた客席、発券機上に置かれている札、ラーメンの手話をしている壁に立てかけられたパネル

そして、スープを全部飲み干した後には、器の底に手話で「ありがとうございます」と描かれたイラストが現れるなど、遊び心も取り入れました。

最近では食べ終わったらすぐに帰らず、スタッフと目が合うまで待ち、目を合わせて「ありがとう、美味しかった」と手話をしてくれるお客さんもいるそうです。

スタッフに望むことは、「自分で料理やアイデアを生み出すことが出来る人、開拓していけるやる気がある人」ということでした。
一方、毛塚さんの苦手なことは、人を採用したり、スタッフの要望に応えたり、スケジュール調整をすることだそうです。

画像:毛塚さんがスープを温めている、器の底を指さして「ありがとうございます」の手話を見せている

店舗概要

所在地:〒110-0001 東京都台東区谷中3-24-1
FAX:03-6759-3420
営業時間:11:30から14:30、18:00から21:30(ラストオーダー21:00まで)
祝日曜日:11:30から14:30のみ、夜間営業休み
定休日:不定休日
最寄駅:JR線・千代田線「西日暮里駅」より徒歩5分
(注2)スープが無くなり次第終了。限定ラーメンやスープが無くなった等の情報は、各種SNSにてお知らせ。
「麺屋 義」HPについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

イラスト:編集後記

画像:車いすユーザの編集部員が手話通訳士と一緒にラーメンを食べている 私は、過去にも聴覚障がいのある人が営む別のお店を取材したことがあります。共通して言えるのは、働いている皆さんが明るいということです。毛塚さんは、まるで麺のようにしなやかでコシのある人でした!
お店を持つ前後や、コロナ禍など、つらいことはたくさんあったはずなのですが、それを明るく笑い話にしてしまう逞しさがあったのです。
そのパワーをお客さんが感じ取り、ついついお店を応援したくなってしまうのかもしれませんね。
「麺屋 義」には、のれん分けした幕張のお店と、コロナ禍で延期となっていたイタリアへの出店も来年に控えている時期に伺ったのですが、個人的には今後のオリジナル麺の開発にも期待しています!

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