視覚障がい者が使う「点字」

2022年11月29日掲載

毎年、12月3日から9日までの1週間は「障がい者週間」です。
この期間を中心に、障がいについて理解を深めるためにさまざまなイベントなどが行われます。
今回は、視覚障がいへ関心を持っていただきたいと思い、視覚障がい者のコミュニケーションツールの一つ「点字」をご紹介します。
誕生した背景やその役割りなど、ぜひご覧ください。

イラスト:駅の階段を視覚障がいの女性が手すりと白杖を使いながら降りている

点字とは

日本では点字が普及するまで、さまざまな方法で視覚障がい者でも読める文字が作られていました。
例えば、土で文字を浮き上がらせたかわらをつくり、かまで焼き固めた「かわら文字」、小さな四角い紙の角の折り方を変えて文字を表す「折り紙文字」、うすい紙をねじってひものようにした「こより文字」などです。

世界中で使われている「点字」の始まりは、フランスの軍人が、夜間に使用していた暗号を、視覚障がい者にも読めるよう、12点点字として作ったことでした。これをヒントに、盲学校の生徒だったルイ・ブライユが1825年に現在の6点点字として考案したのです。

日本に普及したのは1880年代になってからのことで、盲学校の教員だった石川倉治が1887年に、日本語として読めるようにしました。そして、1890年11月1日、視覚障がい者が読める文字として採用され、この日が「点字の日」と制定されました。

【点字の仕組み】

点字は、横に2つ、縦に3つの合計6つの点からできていて、これを「1マス」と言います。
左上から①・②・③の点、右上から下に④・⑤・⑥の点という順番です。この点の組み合わせで、ひらがな、数字、句読点などを表します。

イラスト:あいうえおの点字例と番号をふった点字

点字の主なルールは以下のとおりです。

  • 「私は」や「どこへ」などの「は」や「へ」は発音通り「わ」や「え」とする
  • 読みやすいよう文節ごとに区切る(例:「今日は」「私の」などの後は1マス空ける)
  • 「ぎ」などの濁音や「きゃ」などの拗音は2マス使う
  • 左から右へ読むなど

点字を書く・読むためのアイテム

視覚障がい者が日常で、メモを取ったり文字情報を読んだりするのに使います。
その製品はアナログからデジタルとさまざまあり、プライベートや仕事など幅広く活用します。

点字器

写真:点字器のセット 板状の点字板本体、金属の板が2枚重なっている定規、針状の点筆がセットの道具です。
定規には点字の点に対応した穴が開いてあり、この定規を点字板本体に固定し、定規の間に紙をはさんで点筆の先端を1点1点穴に差し込んで点字を書きます。
紙の裏側から押し出すように穴をあけるため、点字を各ときは読む時とは逆に右から左へ書いていきます。
点字板は点字器と呼ばれることもあります。

点字タイプライター

写真:点字タイプライター 横に6つ並んでいるボタンを、左右の人差し指、中指、薬指で押して使います。
その他、バックスペースキー(1文字左に移動するためのキー)、改行用のレバー、カーソル位置を変更するためのスライドボタンがあります。
パソコンのキーボードを打つイメージで、点字器より簡単に点字を書くことができます。

点字ディスプレイ(ブレイルメモ)

写真:点字ディスプレイ パソコンの画面に表示された文字などを点字に変換し、細いピンで点字の形を表し読むことができる機器です。
スケジュール管理や文章作成など電子メモ帳のような機能がある製品もあります。
また、コンパクトなサイズのものもあり、持ち運びに便利です。

日常にある点字

点字は、普段の生活においても、さまざまなシーンで見ることができます。以下は、その一例です。

缶ビール

イラスト:点字でおさけと書かれている缶の上蓋 清涼飲料水と区別できるようにアルコール飲料の缶に、点字で「お酒」「酒」と表示されています。
表示は各メーカーによって違います。

エレベータのボタン(駅や公共施設など)

イラスト:エレベーター内のパネルに「改札」「出口」「開く」「閉」のボタンの近くに点字が打たれている 階数ボタンに点字があります。
また、ドアの開閉ボタンにも「開け」「閉め」とついています。

駅の階段手すり

イラスト:手すりに「階段」「非常口」の方向支持を点字でも書かれている 「△△方向の下り階段」など、行き先がわかるようになっています。

イラスト:色々な配色のタイルをモチーフにしたライン

点字のプチ情報

実は視覚障がい者の中で使える人は1割程度です。
これは、厚生労働省やその他機関などの調査であげられています。
視覚障がい者は、人それぞれ見え方が違うこと、見えなくなった時期、環境によって違うことなどがあるからです。また途中から点字を習得するのは難しいというのもあります。
最近では、ICTの普及によって、「音声」からの情報が得られるようになりました。こうした時代の変化という現状があります。

イラスト:色々な配色のタイルをモチーフにしたライン

イラスト:編集後記

写真:点字つきのトイレの流すボタン 視覚障がい者のコミュニケーションツールの一つ「点字」は日常においても、さまざまな場所で見ることができます。
みなさんの中にも、公共のトイレのボタンを押す際に何気なく触っていたり、目にしていた人もいるでしょう。ちょっと意識して街中へ出かけてみると、意外な発見があるかもしれませんね。

私は中途の視覚障がい(弱視)で、点字を勉強しましたがほぼ使っていません…。それでも、駅などのエレベータにあるボタンは、便利で助かっています。
こうしたことも含めて、視覚障がいを知るきっかけにしてもらえるとうれしいです。

最近では、気軽に点字を学べる「点字カフェ」や「点字教室」などが、各自治体で行われています。
ご興味のある方は、お住いの市区町村などへお問い合わせしてみてはいかがでしょう。

【参考】

視覚障がいの人はみんな点字の読み書きができるの?
視覚障がい者が利用する「点字図書館」

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