気持ちが通じ合う音楽を届けたい「新日本フィルハーモニー交響楽団」

写真:すみだトリフォニーホールで演奏する新日本フィルハーモニー交響楽団

もうすぐ桜の季節ですね。暖かな春の日差しのせいか身も心もいきいきしてくるような気がします。そんな時は、「お気に入りの音楽でリラックスしている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近では音楽をストリーミングやサブスクなど、さまざまな方法で楽しむことができますが、オーケストラの生演奏を聴いたことがあるという方は少ないかと思います。
そこで、今回は「オーケストラをもっと身近に感じてもらいたい!」と、障がいのある方に向けて新しい音楽の楽しみ方を常に探求し続けている「新日本フィルハーモニー交響楽団」の方にお話を伺いました。

新日本フィルハーモニー交響楽団とは

1972年、指揮者の小澤征爾氏のもと、楽団員による自主運営のオーケストラとして新日本フィルハーモニー交響楽団(以下、新日本フィル)を創立。
1997年、墨田区に移転。同年オープンしたすみだトリフォニーホールを活動の本拠地とし、楽員の日常練習と公演を行うという日本初の本格的フランチャイズを導入しました。定期演奏会や特別演奏会のほか、地域に根ざした演奏活動も精力的に行っています。
1999年、小澤征爾氏が桂冠名誉指揮者に就任。2016年9月より、指揮者の上岡敏之氏が音楽監督を務めています。
2020年より、久石譲氏が新日本フィルComposer in Residence and Music Partnerに就任。来年には、創立50周年を迎えます。
「新日本フィルハーモニー交響楽団」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

イラスト:さまざまな楽器と音符が並んでいる

新日本フィルハーモニー交響楽団の貝原さんに伺いました!

聞き手: 3月に開催される演奏会に、障がいのある方などを招待されるそうですが、どのようなきっかけからそうした活動を始められたのですか?

貝原さん: そうですね。墨田区の依頼で、30年くらい前から作業所などへ出向いてミニコンサートをするようになったことがきっかけです。
普段、なかなか生の音楽を聴く機会がない方たちが多く、みなさんとても喜んで聴いてくれました。そのつながりからホールに来ていただき、生のオーケストラを聴いてもらいたいということで、私たちの定期演奏会に障がいのある方などを招待することにしました。

聞き手: やっぱり生のオーケストラは迫力がありますからね!
実際に障がいのある方は来ていただけているのですか?

貝原さん: はい。実は墨田区のふるさと納税で、演奏会に障がいのある方などを招待できるシステムを作ってもらい、おかげさまで多くの方に来ていただいてます。
今年も定期演奏会にご招待し、盲導犬を連れた方や車いすの方などに来ていただきました。盲導犬が10頭くらいになった時もありますし、チャリティーコンサートでは座席を取り払ってスペースを作って、車いすを多く入れられるように対応したこともあります。通常、車いす席は1階に4台分なのですが、ホールの中央に位置しているので音がよく響いて聴こえるいい席なんですよ!

写真:編集部員と貝原さんがオンラインを利用して話している

聞き手: これまで視覚障がいや車いすの方がいらっしゃったそうですが、ほかの障がいの方などもいらっしゃっているのでしょうか。例えば、音楽を聴くことが難しい聴覚障がいの方などの場合、何か工夫されたことなどありますか?

貝原さん: そうですね。「耳の聞こえない・聞こえにくい方」にも音楽を楽しんでもらう体験をしていただいたことはあります。バルーンを抱えて、音が強いときに振動が大きくなったり、赤いライトが光ったりなど、目で音楽を楽しむことができる工夫を行いました。全ての方が音楽を楽しめるよう、そうしたことを考えるのも私たちの使命だと思っています。
音楽は工夫することで、障がいのあるなしに関わらず楽しめると思います。今、認知症の方にも音楽の力を役立てようと考えています。
リズムをとるなどが脳の働きを活発にすることで「音楽療法」というのでしょうかね。ただ、専門家が少ないのでまだまだこれからにはなると思うのですが…。
音楽を通して「気持ち」が通じ合うということが一番大事だと思います。

聞き手: 確かに、多くの方に音楽を楽しんで欲しいですよね。
次に、私は車いすユーザなので、バリアフリーの設備をお伺いしてもいいですか?

貝原さん: はい。すみだトリフォニーホールはバリアフリーに対応しています。
手すりや、車いすのままでも入れる広いトイレが3つあります。現状、残念ながらお客様の駐車場はないのですが。

聞き手: なるほど。せめて身体障害者用駐車場だけでも確保いただければありがたいのですが…。
さて最近、遠隔操作ができる分身ロボット「OriHime」を利用してのコンサートも開催されたようですが、ロボットを通して、今までオーケストラのコンサートに参加できなかった方も参加できるようになるかもしれませんね。

写真:OriHimeが三台座席に並んで音楽を聴いている

貝原さん: そうですね。OriHimeを利用して、これまで障がいなどを理由にコンサートへ行きたくても行けなかった方が、自宅にいながらコンサートを楽しめるようになることはうれしいですよね。
自分で見たい景色を見られたり、ロボットを操作することができるので画期的だと思います。今回開催してみて出てきた課題をひとつひとつクリアして、これから役立てていきたいと思います。
一人でも多くの方に音楽をお届けしたいという思いから、ライブ配信も積極的に行っています。私たちは高品質な映像と音で、その場の雰囲気を味わってもらいたいのです。
単に映像と音を届けるだけではなく、いかに現実に近づけるかというのが今後の課題です。

聞き手: これから5Gといったネットワークを介して画期的な技術が広がっていくと、音楽の楽しみ方にもさまざまな選択肢が出てくるかもしれませんね。
本日はありがとうございました。

イラスト:編集後記

今回のインタビューでは、コロナ禍でコンサートを開きたくても開けない日々が続き、楽団も大変だとお聞きしました。しかし、「音楽の力」を必要としている方は多いはず!私もその中の一人です。
コンサートを聴きに行くのが難しければ、オンラインで聴いたり、今回ご紹介している分身ロボットのように体験型で音楽を楽しめるようにするのも一つの方法かもしれません。
私は、やっぱり生のオーケストラで重厚な音楽を全身で浴びて、感動してみたいと思いました!
みなさんも機会があれば、ぜひオーケストラのコンサートを聴きに訪れてみてはいかがでしょうか。

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