映画「車線変更-キューポラを見上げて-」の国枝プロデューサー×青木脚本家インタビュー【後編】

写真:右側に国枝秀美さん、左側に青木江梨花さん、2名が並び笑顔で正面を見ている様子

写真:【タイトル】左上に「対談(後編)」、中央に2段に分けて「映画:車線変更-キューポラを見上げて-」と書かれている

簡単なプロフィール、左側に「青木江梨花さん、脚本家」と、右側に「国枝秀美さん、映画プロデューサー」と描かれている

映画のあらすじ:
舞台は鋳物で有名な埼玉県川口市。オートレーサーである主人公の野平幸助は「賞金王」獲得を目前にして、練習中の接触事故で足に障がいを負ってしまう。健常者の時には想像もしなかった多くの壁と周囲の憐れみに絶望するが、鋳物職人の父や、他のさまざまな障がいや国籍差別のある人たちと出会い幸助の気持ちは変化していく。ある日、幸助は義足でロードレースに挑む唯と出会い、バイクから自転車に乗換え再びレースで頂点を目指す。

障がい者が障がい者役を演じることで
直接届くメッセージがあるはず

写真:知的障がいの子供たちが絵を描いている様子

聞き手:今回、映画に出ている障がいのある方たちは、国枝さんが代表を務めるプロダクションの方たちでしょうか?

国枝:そうです。出演されてた方たちのご家族はものすごく喜んでくれます。一昔前は、特に知的障がい者であることを隠す。隠さなきゃいけないって時代でしたね。だから、本当にテレビで見ることもほとんど無かったです。たまに見るドキュメンタリーなどでは可哀想な表現をされてしまいます。知的障がいのある皆さんと出会うきっかけの映画制作時は、ちょうど子どもタレントブームの時代でした。私自身が障がい児・者に対する見方が変わっていて、個性の塊で磨けば光る宝石の原石だ。広告効果は一般の子どもタレントよりよほどあるから売れる!メディアにどんどん露出するべきだと思い、日本より進んでいるロスも視察してきて「間違いない」と決心し、それを、ある新聞社の記者が書いてくださったら、ものすごい反響がきたんです。
それで当時経営していた法人の中にタレント部門を作り、たくさんの企業に売り込みしても、全くダメで、「そういうことは、そっち側でやっていただきたい」って言われたとき、あっ、やっぱりそっち側とこっち側とあるんだっていうのを感じました。それで壁に当たり、広告より先に役者やタレントとして育て広告効果を認めてもらおうと舞台や映像に出しながら現在に至ります。でも、2020年が近づきずいぶんと変わりましたね。

聞き手:そうなんですね。時代がやっとついてきた感じですね。

国枝:あと、すごく心に残っているのが、新聞の取材のとき記者の方が私の考えに共鳴してくださったんです。その方は、お嬢さんが病気で中途障がいになり、ものすごく障がいについて気になるようになったらしいんですね。だから、「敢えて障がいをテーマにしたような取材に出かけるようになりました」っておっしゃってて、ご家族や自分と近い人が障がいを負うと、考え方が変わってくるのかなと思いましたね。
今回は、中途障がいの方を主人公にしていますが、重くなりすぎない物語にしたいというのがありました。

写真:鋳物工場で向き合う幸助と父親

青木:みんな自分が不幸になると、世界で一番不幸な人間に違いないと思い込んでしまうこともあるじゃないですか。けど、よくよく冷静に周りを見るともっと大変な人はたくさんいます。幸助は新しい世界を知ることによって自分の置かれている状況と、これからやるべきことに少しずつ目覚めていくというようになればいいなと思い、幸助にはさまざまな経験をさせたような気がします。

聞き手:エンターテイメント性をキープしつつ、さまざまな障がいについても描くのって作業的に難しくなかったですか?

青木:私は、「障がい者の映画」って思っていないんです。あくまでも幸助の負った悲劇が障がい者になるという大前提があるだけで、あとはそんなに障がいに囚われず、障がいを乗り越えていく幸助の姿と周りの障がいのある人たちが彼にどう影響を及ぼしていくのかを描いています。
障がい者同士だからこそ言えるきつい言葉とかを言わせてみたりして、そういうことを言うことによってそれぞれの立場があきらかになっていくんです。そういう意味では、健常者と障がい者では言えないことが言えるシーンもいっぱいあって、普段は書けないシーンを書くことができました。

子供たちに一番見て欲しい!
それぞれの立場や考え方を体感する映画

青木:すごく綺麗に撮っていただいたので、ご家族でも安心して見られる映画になっていると思います。純粋に幸助と一緒の気持ちになって映画を楽しんで欲しいなと思います。
障がいは特別なことではなく、何かの拍子にあなたも幸助みたいになるかもしれないと想像をすることで、みんながそれぞれの立場で考えられるようになれば、子供たちも優しい気持ちになるかもしれない。成長する過程でこういう映画を見ると、考え方が変わってくると思います。

聞き手:映画で直接メッセージを投げかけられるのはいいですね。

国枝:〇〇さんのファンだからとか、オートレースがかっこいいからとか、自転車レースが好きだからとか、映画を見るきっかけは何でもいいんです。

青木:特にオートレースは間近で見るとすごい迫力です!

国枝:オートレースも鋳物づくりも、命がけというのが共通しているところです。
もう一つの見どころは、義足のパラアスリートである村上清加さんに出演いただけたことです。

青木:劇中に当初、「骨肉腫で片足を切断した時は、もう生きてるのもイヤだった」という台詞がありました。するとそれを読んだ村上さんに「ケガで足を失った人はそうかもしれないけど、病気の人が足を切るのは生きるため。だからそういう台詞にはならないはず」と言われたんです。確かにそうだなと。それは当事者にしか分からない感覚なので、とても勉強になりました。

写真:村上さんと幸助役の平田雄也さんの前を向いた全身

国枝:村上さんの立ち直るきっかけが義足だったそうです。明るく前向きに生きてらっしゃる素敵な方だなと思いました。
あと、知的障がい者の子供たちの施設が少し映るのですが、その子供と関わった人たちみんなが優しくなります。あんな現場は他には無いと思います。だから良い作用があるのかもしれないですね。

聞き手:1人でも多くの人に見て、楽しんで欲しいですね。公開を楽しみに待っています!

写真:編集部員を中心に3人で映画のチラシや台本を持って正面を見ている様子
編集後記:

撮影エピソードについては、ここに書ききれないほどお伺いしたのですが、それは映画を見る皆さんが直接見て感じていただけると思っています。
この映画は、公民館や学校上映などもしていきたいそうです。そのために、ご協力いただける人や企業も募集中ということでした。
2020年度公開予定です!

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国枝秀美さん〈プロフィール〉
映画プロデューサー、埼玉県出身/映像の制作会社から大手広告会社勤務を経て独立。2007年に日本初知的障がい児・者の芸能プロダクションを立ち上げる。障がい者に関係する舞台や映像制作を行う一般社団法人「K’sスペシャルニーズエンターテイメント」代表理事。
青木江梨花さん〈プロフィール〉
脚本家、東京都出身/慶應義塾大学文学部卒業。2007年、脚本家デビュー。テレビドラマ、ラジオドラマ、映画や舞台等多くの脚本を手掛け活躍中。

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