手話パフォーマンス「ハートサインダンスⓇ」の講師として活動している「もりかずえ」さんにインタビュー

写真:タイトル名、ハートサインダンス考案者。インタビューを受けるもりかずえさんが、手話でアイラブユーのポースをしている
もりかずえ

埼玉県在住/ハートサインダンス®教室シロツメクサを主宰し活躍中。一男一女の母でもある。長女に重度障がいあり。

保育士、介護職員、障がい児の生活支援員として活躍後、2013年よりオリジナルの手話パフォーマンス「ハートサインダンス®」の講師として活動開始。趣味は、花屋・雑貨・カフェめぐり。発達障害者コミュニケーション指導者研究初級の資格を持つ。

ハートサインダンス®教室「シロツメクサ」(新しいウィンドウが開きます)

みんなの心に
バリアフリーという花を咲かせたい
ある日、手話ダンスを見て「自分の進むべき道はこれだ!」と思ったもりさん。手話パフォーマンス教室「シロツメクサ」を主宰しています。言葉を発することができない障がい児から、高齢の方まで「みんながちがって、みんないい」そんな社会になればと考えています。人の心の中にある見えない壁を無くし、バリアフリーの花を咲かせる活動をしている、もりさんの素顔に迫ります。

誰もが参加できるなんらかの役割を見つけ、
それを生かしてあげる。成長を信じて待つ!
そして自分自身がいつもニコニコ元気でいることが大事。

聞き手:本日はよろしくお願いします。さきほどハートサインダンス®を見せていただきましたが、すごく楽しいライブ感のあるパフォーマンスでしたね。ご存じない方には、ハートサインダンス®をどう説明しますか?

写真:インタビューに笑顔で答えるもりさんのバストアップ

もりさん:そうですね。手話をしながら踊る手話ダンスは、わりと前からあったようです。他には、歌に合わせて手話をつけていくような手話コーラス。
今は、小学校や中学校でもダンスの授業があるので、珍しくなくなってきましたけど、手話ダンスは、〇〇協会とか、〇〇研究会とかを通してないといけないなど、色々規制があるんです。

地元の手話サークルで勉強をしているとき、手話ダンスを見て「私のやりたかったことはこれだ!」と思って、本来なら手話通訳養成コースに進むところを、手話ダンスの道に進みました。なので、手話通訳士などを目指してる方からすると、私のやっていることは異色って言われてしまうかもしれません(笑)。
けど、私はそういう規制概念が無かったので、オリジナルを作り出せたのかもしれません。誰でも参加できるパフォーマンスを作りたいという思いがすごくあって、それで「ハートサインダンス®」という名前にしたんです。

手話ダンスは、サインダンスと訳されることが多いと思いますが、そこに敢えてハートを頭に乗せて、心を表現するパフォーマンスという意味合いをつけたかったんです。ちょうど一年ほど前に商標登録の申請をして、今年の春やっと申請が通りました。

写真:教室を始めた頃のもりさん。小さな女の子に手話を教えている

教室を始めた頃の様子

聞き手:そうなんですね。おめでとうございます!

もりさん:ありがとうございます!これでまがい物ではなくて、ちゃんとした一つの文化として証明されたのかなと思えます。ただ、人に説明するとしたら、「とにかく見てください!」ってことになってしまうと思いますが(笑)。

結局、全編手話ではありませんから。「ハートサインダンス®」は、ダンスとか、リズム取りとか、掛け声とか、そういうのを交えつつも一部手話が混ざっているようなパフォーマンスになります。例えば、大人だけのチームでやる場合、手話の要素を増やしたり、輪唱みたいにしてみたり、手法は色々変えています。

聞き手:ちょっと複雑なバージョンもあるんですね。

写真:インタビューに笑顔で答えるもりさんのアップ

もりさん:そうなんです。大人だけだとパフォーマンスづくりがちょっと変わってきます。
だけど、今日見ていただいたように若い方が多い福祉事業所だと、みんなで繋がれる最大公約数があの感じなんです。

例えば、最初は手拍子から始まるので全員で入れるだろうとか、同じ歌詞が何度も出てくるところは、みんなでやってみようかという感じで進めていきます。そして、何度かやっていくうちに変化してくるんです。繰り返すことによってみなさん上達していきますから。手拍子だけではつまらないから、もうちょっと欲張ってみようかという形で、同じ曲でも各事業所によって違う形になったりします。

聞き手:そうすると、年齢層も幅広いんでしょうか?

もりさん:そうなんです。一番小さい子で、生後4か月の子です。手話を覚えたいというママに連れられてレッスンに来ています。始めはクッションで寝ているような状態だったんですけど、ママに手を持っていただいて「パチン」って手を叩いたりすると、キャッキャッ笑うようになったんです。だから、「ばっちり参加できていますね」って、お声がけしてます(笑)。

身体障がいの方では、気管切開をして呼吸器をつけている方もいますね。また、酸素ボンベを持ってリクライニングの車いすで参加される方もいます。時々、「ピピピッ」って警告音が鳴ったり、「プハー、プハー」って手動式人工呼吸器の音がしたりしています。

聞き手:そういう方たちも参加できるんですね。

もりさん:片手しか自由が効かない方もいますし、全身に麻痺があったとしても、「目でお願いしますよ!」って言って、なんとかできることを一緒に探していきます。このタイミングで、こうやって欲しいとかそういう感じです。それがパフォーマンスに繋がっていくので、「あなたがこれをやってくれないと次進まないよ」と、役割を作ってそれを伝えます。

あとは、小道具を駆使することが多くて、旗を持ってもらうとか、持てない場合は車いすに装着してその方を支援員に車いすを押していただいて、その旗のパタパタしている状態をパフォーマンスの手法として取り入れたりしています。

私は今まで、他の色々なパフォーマンスを見てきて、「この人ちゃんと参加してる?」っていう物足りなさを感じることがあったんです。けど、ハートサインダンス®は、話せなかったり、身体を動かすのに制限があったりしても、ちゃんと参加してもうことが前提なんです!

写真:障害福祉サービス事業所の利用者さんと一緒に音楽に合わせてハートサインダンスをしている様子

障害福祉サービス事業所Soliel(ソレイユ)の利用者さんと!

聞き手:参加して、みんなで何かを作り上げるって大事ですよね。

写真:障害福祉サービス事業所の利用者へ指文字を教えているもりさん

もりさん:大事です!障がいなどを理由に、その方が輪に入れず「目立たないように、そこにいてください」では、やはりさびしいと思うんです。

だから、このタイミングで旗を出すとか、歌のときは目を閉じておいて間奏の時に目を開けるとか、役割を与えると積極的になって今までうつむいて顔を見せなかった方が、その役割を果たすと「ヤッター」みたいな感じになるんです。

そういうことが一回できたら、次はこれいけるでしょとか、これができたら次、といったようにどんどん成長していくんです。

聞き手:そういう場面を見られるのはうれしいですね。

もりさん:はい。特にお子さんの場合、ご両親や学校の先生や身近な方が発表会を見にいらっしゃると目からウロコだとおっしゃいます。「まさか、できると思っていなかった!そうか手が動かせないなら、プラカードという手があったか!」なんて、そういうことは結構ありますね。

支援のコツはシンプルで、「自分がその支援をされたらどう思う?」って考えればいいだけなんです。例えば、この言葉がけをされたら?こういうふうに言われたら?って思うだけなんです。とってもシンプルなんですけど、それはつい忘れちゃうんです。だけど、この支援のコツを忘れなければうまくいくんです。

教室には、長くて7年目という人もいるんです。ただ、やっているだけではないんです。はたからみたら、そんなに目立つことではないかもしれないけど、生活面や精神面の成長はものすごい変化があって、みなさんを支えるものにハートサインダンス®がなって欲しいと願っています。

聞き手:今後の目標など教えていただけますか?

もりさん:精神を病んでしまった方とか、障がい児を育てているお母さんとかにスポットを当てていきたいという思いがあります。娯楽っていうか、楽しい時間を過ごすことは、すごく大事だと思うので…。

聞き手:みんなが楽しめる共通の娯楽がリズムなのかもしれないですね。

もりさん:そうですね。やっぱり音楽やリズムが要になっているのかなと思います。

  • 写真:もりさんとインタビューアーが、一緒にアイラブユーの手話を笑顔でしている様子
  • ♦編集後記♦
    ハートサインダンス®の認定講座づくりに奔走しているもりさん。今月の21日にはライブも控えているそうです。これからも誰もが楽しめる「ワクワク」を生み出していって欲しいです。

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