障がいを気にせず髪を切りに行けるバリアフリーヘアサロン「Meets Smile(みーつ・すまいる)」

今回ご紹介するのは、東京都清瀬市にあるバリアフリーヘアサロンのオーナー兼スタイリストである佐野さんです。
みなさんが思い浮かべるヘアサロンとは外観からして一風変わっています。
「笑顔に出逢える場所」をコンセプトとし、働いているスタッフ含め、訪れるお客様も自然と笑顔になれるバリアフリーヘアサロンです!
車いすユーザの編集部員が実際にお店でカットを体験しながら代表でスタイリストの佐野さんへお話を伺ってきました。ぜひ、ご覧ください!

写真:左が髪を切っているアップ、右がお店の前でヘアサロンの2人のスタッフと編集部員の集合様子

佐野政三さんはこんな方!

写真:笑顔でインタビューに答える佐野さん
  • 理美容業界で20年以上働く
  • 2015年7月に「Meets Smile」のオーナー兼スタイリストとして独立
  • 有資格:管理理容師、重度訪問介護従業者、資生堂プロフェッショナル公認ヘアカウンセラー

店舗情報

所在地:〒204-0022 東京都清瀬市松山1-16-9-102
連絡先:042-497-8946
営業時間:10:00から20:00(平日)9:00から19:00(土・日・祝祭日)
定休日:毎週水曜日
最寄駅:清瀬駅から徒歩5分
『Meets Smile』についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

店舗は、スタイリストで代表の佐野さんと、フロアスタッフで広報や営業も担当している上村さんのお2人で働いています。
共に重度訪問介護従業者(注1)の資格があるので、車いすからセットチェアへのトランスファー(注2)が1人で難しいという方は、お手伝いしてくれます。

(注1)重度の障がい者の介護を総合的に行う。
(注2)移動や乗り換えのことをいう。

バリアフリーヘアサロンの誕生まで

聞き手: バリアフリーヘアサロンを始めようと思ったきっかけを教えていただけますか?

佐野さん: 私の父に障がいがあり、障がいのある方を受け入れられるヘアサロンがほしいと思ったのがきっかけです。
父は、車いすユーザのため出かけられる場所がなかなか無いとずっと思っていましたから…。

聞き手:確かに車いすだと少ないですよね。なぜ、ここ清瀬にしたのでしょうか。

佐野さん: 私の出身が清瀬だったからです。
ここの大家さんが好きにリフォームしてもいいと言ってくれたので、入口やトイレなどは全て作り直すことができました。
あと、商店街の側道なので、福祉車両などでもお店の前まで送迎ができることも一つの理由でした。
本来の目的は、障がいの有無に関わらず使ってもらえるスペースを創りたいという想いがありました。その私のプランに賛同してくださる仲間に様々な業種の方々が多かったこともあり、その仲間たちのお力をお借りして1軒作ってしまおうという形になりました。

聞き手:すごくおしゃれなお店ですね。

写真:編集部員の質問にジェスチャーつきで答えている様子佐野さん: ありがとうございます。さきほどの話に出てきた仲間の1人の紹介で建築デザイナーにお願いすることができました。お店のコンセプトをちゃんと理解してくださり、「和の茶室」をコンセプトにデザインしていただきました。
茶室は、若い方からご年配の方でも安心して入ることができ、木のぬくもりを感じられるようにしていただいたのです。
これだけいいハード面を用意してもらったので、ソフト面もしっかりしなければと思っています。

理想のお店を追及して

聞き手: 今日は、清瀬駅から商店街を通ってきましたが理美容店が密集していてびっくりしました。
障がいのあるお客様って、どうやってこのお店を知って来られるのでしょうか。

佐野さん:そうですね。この周辺だけでも10件ほどあります。
本当にありがたいことに、皆さんにクチコミで広げていただいています。
ケアマネージャーさんとか、施設の方が見学にお越しいただいたりもしているので、そのご紹介もあります。

聞き手:重度訪問介護従業者の資格をお持ちですが、どういった経緯で取得なさったのですか。

佐野さん: このお店を始める時に障がいのある方を積極的に受け入れるということは決めていたのですが、そのタイミングでしっかり勉強しなきゃならないと思っていました。
資格取得のため、知り合いのヘルパーさんにお願いして研修を受けさせていただきました。その後、実際に半年位ヘルパーとして経験を積んだので、このお店に来られたお客様で車いすからセットチェアへ移動させるためのトランスファーを習得することができたのです。
それまでは、どうしても健常者目線で「介助してあげている」感が出ていたと思います。
けれど、ヘルパーの経験後は障がいのある方目線で物事を考えられるようになり、お店に生かせるアイデアが生まれいい体験になりました。

聞き手: 具体的には、どんなアイデアが生まれたのでしょうか。

佐野さん: 1番のアイデアは、カウンターです。2段になっていますが、1段目は立ったままお会計がやりとりしやすい高さで1メートルにしました。ただ、車いすユーザの方にこの高さは高すぎますよね。そこで2段目は、75センチの高さに設定し、車いすユーザの方の足がカウンターに入れられるように設計していただきました。これは上村のアイデアです。

聞き手: 確かに腕を上げづらい障がいの方もいらっしゃいますからね。
2段にすることによって、よりおしゃれにも見えます。

写真:左は2段目のカウンターでお会計の様子。右はトイレの洗面で手を洗っている様子

佐野さん: いわゆるユニバーサルデザインの規定では、床下から80センチの高さがベストとされているのですが、あえて5センチ下げました。なぜなら、車いすユーザの方でも腕を上げたりするのがきつかったり、体に傾きがあったりする方もいるからです。
ちなみにお手洗いも同じ75センチにしています。立位の方にはちょっと低めなんですけど車いすユーザの方だけじゃなく、背の低いお子様にはちょうどいい高さのようです。

セット面に話は移りますが、カウンター近くの鏡の前は「バリアフリースペース」として、例えば車いすに乗ったまま髪をお切りすることもできるし、座ることが難しい方は、立ったまま髪をお切りすることもできます。
また、ストレッチャータイプの車いすでもご利用いただける広さになっております。
このスペースでは非日常を味わってもらいたいので、ギターやインテリア、イラストなどを鏡越しにも見て楽しめるように工夫しています。
他には、小さいお子さんをお連れの親御さんが髪を切っている間の待ち時間に、畳を敷いて寝っころがったり、遊んだりなど、自由に使っていただけるスペースとなっております。

写真:左がセットチェア、右ばバリアフリースペースの畳の上で絵本を読んでいる子供の様子

外に出るきっかけになって欲しい

聞き手: このシャンプー台は、形が変わっていますね。

佐野さん: はい。シャンプーは、前向きでも後ろ向きにも対応できますし、セットチェアは360度回せます。
体勢を維持するのが難しい方にでもシャンプー台を近づけることができるので、シャンプー台に首を乗せる時のフィッティングは、全てこちらで行わせていただきます。

写真:左から車いすユーザ専用のマントを着用して髪を切られている、足置きを外したセットチェア、前向きでシャンプー台に首を傾けている、後ろ向きでシャンプー台に首を乗せている様子

聞き手: それは楽ですね!あと髪形ですが、障がいのため自分でうまく意志疎通できない方の場合はどうしているのでしょうか。

佐野さん: 基本的にはご本人の意向を知りたいので、話すことができない方はタブレットでヘアカタログを見てもらい選んでいただきます。それも難しければ、ヘルパーさんやご家族の意向を伺います。
あとは、頭の形やつむじの向き、動かしやすい手を見極めてセットしやすい髪形を決めたりします。

聞き手: さすがプロですね!

佐野さん: 障がいの有無に関わらず、お越しになるみなさん受け入れる床屋さんっていうイメージでやっています。
このようなお店がもっと増えて欲しいというのが本音ですが…。

聞き手: そうですね。障がいがあると、お店選びって本当に苦労するんですよね。

写真:左から上村さん、編集部員、佐野さん、セットチェアの店内での集合写真 佐野さん: 車いすユーザの方が週に3、4人はいらっしゃいますが、「あそこに行くから外に出よう!」って思ってもらえる床屋さんになりたいです。バリアフリーヘアサロンということでフォーカスされますが、そういうのとは関係なしにお越しになる全ての方がみんな笑顔になって帰ってもらいたいです。
驚かれるかもしれませんが、利用者の男女比率は、なんと半々位なんです!

聞き手: こんな素敵なお店だからこそ納得です。本日は、ありがとうございました!

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