多分野で障がい者の就労を支援「夢工房翔裕園」

写真:青空をバックにした事業所の外観と看板

年々、高齢化の影響で耕作放棄地が増え続けています。
近年、その土地を利用して、農業分野で就労支援を行う就労継続支援事業所がみられるようになってきました。
今回ご紹介する「夢工房翔裕園(しょうゆうえん)」もその一つで、就労支援として野菜や果物を作っています。生産活動から販売までのご苦労と福祉サービス事業所の運営について課題など、お話を伺ってきました。

夢工房翔裕園とは

埼玉県鴻巣市にある、通所型の障がい福祉サービス事業所です。
多機能型施設として「就労移行支援事業」「就労継続支援B型事業」のサービスを提供しています。

就労移行支援事業
単独で就職することが困難な障がいのある方に、就職に必要な知識及び就職先の紹介を支援するサービスです。

就労継続支援B型事業
就職が困難な障がいのある方に対して、雇用契約を結ばずに働ける場所を提供するサービスです。
どちらのサービスも利用できるのは、平日9時から16時。利用者の状態に応じ利用曜日・時間が設定されています。

主な活動内容

観光福祉農園 元気ファーム

写真:(左)いちごが成っている(中央)ブルーベリーが成っている(右)たまねぎが複数集まっている様子 1月頃から「いちご」、6月頃からは「たまねぎ」が収穫されます。そして、たまねぎの出荷が終わる7月頃からは「ブルーベリー」の収穫が始まります。
このように、年間を通じて定植から収穫までの作業ができるように、作物を考えて栽培しています。
なかでも、いちごとブルーベリーは、一般の方でも収穫体験ができる「観光農園」で栽培されており、収穫時期には、食べ放題コースを楽しむことができます。また、直売所もあり、獲れたての果物を持ち帰りすることもできます。

あおぞらベーカリー

写真:準優勝したイチゴのふわふわシフォンと賞状と盾美味しい焼きたてのパンや焼き菓子を製造・販売しています。
食事パン、総菜パン、菓子パン、バーガーなどの品ぞろえで、価格は150円前後のお求めやすさです!
「第7回 Premium Quality Cup 2016 SAITAMA 焼き菓子コンテスト」では、昨年に引き続き準優勝を獲得しています。

硬式野球ボールの修繕と硬式テニスボールの再利用

主に県内や東京の学校・団体から依頼を受けています。毎日の練習で傷んだ硬式野球ボールを、皮や糸を丁寧に縫い合わせることで再び練習球として甦らせています。
写真:傷んだ硬式野球ボールを糸で縫っている様子 縫製技術は、高校野球公式試合でも採用されているボールを製造している「松勘工業株式会社」の指導を受けています。使われなくなった硬式テニスボールは、椅子の脚にはめられるよう加工されます。
それを学校や高齢者施設などに取り付けに行く作業を受注しています。

その他受注作業

お菓子などの箱折り作業や、宅配業者のメニュー折り込み作業などの軽作業も受注しています。

パソコン訓練

主にエクセルやワードを中心とした、パソコンスキル向上を目指す訓練をしています。

百合川施設長から

事業所の百合川施設長に、施設運営について伺いました。

元気ファームの場合

農園は、たまねぎ、いちご、ブルーベリーの順で大きくしていきました。農園を大きくするにあたっては、それぞれに大変な苦労がありました。
たまねぎは、出荷まで1年かかり、栽培面積が小さいため収入が少ないです。
いちごは、ハウス栽培ですが、靴裏などに付いた土から害虫(ダニ)を運んできます。葉っぱに害虫が付くと、美味しい実が成りません。人を入れるということは、それだけリスクが伴います。
ブルーベリーは、農機具を使わず管理がしやすいと、作ることを決めたのですが土壌を酸性にするのが大変でした。

あおぞらベーカリーの場合

事業所には店舗が併設されていますが、営業が平日の朝10時から16時までなので、通勤や通学の時間帯は店がいつも閉まっている状態です。そのため、なかなかお客様は来てくれません。「ここのパン屋は、いつやっているんだろう?」と思われているはずです。
今では、コンビニやスーパーでも美味しいパンが買えますから、差別化を図る必要があると思いました。
そこで、パンの専門職を職業指導員として、非常勤の方を2名採用し、職員は利用者さんの支援に専念しました。その結果、パンの質も上がり、お客様にも「美味しい」と言ってもらえるようになり、みんなのモチベーションが上がったと思います。

硬式野球ボールの修繕の場合

ボールの芯を再利用し、皮の張替えを行うことを「アゲインボール」といい、この園オリジナルの作業になります。技能指導を受けて、身に付くまでは時間がかかりました。
最近ではプロ野球選手からも賛同していただき、全国の少年野球チームに寄贈されたり、色々な方々と繋がりができたのが嬉しかったです。

写真:百合川施設長がジェスチャーを交えて笑顔で話してる様子

アゲインボールのような園独自の生産を行い、下請けではない、本当の意味での生産者になるのが理想です。
利用者の工賃を上げて、自立して生活できるよう、活動を広げていきたいと思います。

事業所情報

名称:障がい者福祉サービス事業所 夢工房翔裕園
所在地:〒365-0025 埼玉県鴻巣市下谷41
連絡先:TEL 048-540-5000
    FAX 048-544-0050
メール:yumekobo@genkimuragroup.jp

「障がい者福祉サービス事業所 夢工房翔裕園」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

イラスト:編集後記

写真:元気村の梅のイメージキャラクター、うめサブローと小梅ちゃん 夢工房翔裕園の取組みは、いかがでしたでしょうか?
常に利用者の支援のあり方を考えて、一番の支援となる工賃を上げるため、色々な生産活動を取り入れてるのが印象的でした。
利用者にしてみれば、一番の願いは工賃が上がることですが、現実は思うようにはなりません。
実はその対価は、働く作業の質や量に比例することなく、ほぼ最初から決まっているものがほとんどです。
しかし、地道と思える生産活動でも徐々に賛同の輪が広がりつつあります。その広がりが、もっと利用者への就労支援に結びついてくれることを願います。

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