野球はいろんなことを教えてくれる(3/3)

ワールドカップ

聞き手:今年の11月には、障害者野球のワールドカップも行われるそうですね。開催のきっかけを教えてください。

矢本::これは、連盟理事長の長年の夢だったんです。全世界で野球をしている障害のある人のチームを一同に集めたいというものです。今年3月に、世界中のプレーヤーたちが母国の代表として戦う野球大会「ワールドベースボールクラシック」が初めて開催されたというのも、ひとつのきっかけだったと思います。関係者が熱心に動いてくれて、韓国、台湾、アメリカ、未定ですが中南米、日本、の各国によるリーグ戦を行うことになりました。会場は、神戸市のスカイマークスタジアムです。

聞き手:各国の野球ルールが違うと思いますが、ルールはどうするのですか?

矢本:第1回目の大会を、日本で開催することから、今回は、日本のルールを適用します。審判も外国から来るのは大変なので、日本人で対応することが決まっています 。

聞き手:ワールドカップには、矢本さんはどのように関わられるのですか?

矢本:監督から、コーチをやってくれないか、という話をいただいたので、お引き受けしました。

聞き手:一番戦ってみたいチームはどこですか?

矢本:そうですね、アメリカとやってみたいですね。ちょっと写真を見た感じでは、選手がみんな大きいんですよ。丸太のような腕をしていますし、すごくパワーがありそうだな、と思いました。野球ではなく、本場のベースボールというものと対戦して、どんな違いがあるのかを肌で感じてみたいと思っています。

聞き手:アメリカには、障害者野球チームがたくさんあるのでしょうか?

矢本:アメリカ国内に何十チームもあるわけではないようです。しかし、よく南米のチームと大会を開いたりしているようですね。中南米は強いという話を聞いています。

聞き手:ワールドベースボールクラシックで日本が優勝しましたが、勝算はいかがですか?

矢本:ワールドベースボールクラシックでは、日本が劇的な形で優勝しましたよね。大会の第1回目ですし、私たちも是非、優勝を狙って頑張りたいと思います。

写真:東京ブルーサンダースのチーム一同

本に込めた気持ち

聞き手:昨年「4アウト」という本を出版されましたが、そのきっかけを教えていただけますか?

矢本:書いていただいたライターの方が「障害者も野球をやっているんだよ。」とある雑誌に載せてくれたんですよ。そのライターの方が練習を見に来たときに「ぜひ、こういう活動をしていることを書かせてください。」と言ってくれたことがきっかけです。

聞き手:本の内容を教えて下さい。

矢本:チームの立ち上げからいるメンバーの思いや、障害のある人への指導の仕方、選手自身が野球に携わって変わっていったことなどを書いています。

聞き手::本に込めた気持ちなどはありますか?

矢本:まず、読者の方に、みんなと同じように野球をやって、楽しんでいることを伝えたいと思いました。そして、草野球のような形ではなく、勝つことを目的としていること。勝つための練習を理解していただけると嬉しいですね。

野球から学ぶこと

聞き手::現役選手、そして障害者野球の指導者と、矢本さんは野球に打ち込まれてきましたが、矢本さんにとって、野球とは何ですか?

矢本:教科書ですね。野球というのは、社会の縮図だと思うんですよ。挨拶ひとつにしてもそうですし、整理整頓もそうです。野球というのは、社会で通用するものを持っていると思うんです。選手たちには野球をとおして、立派な社会人になってもらいたい、お父さんになってほしいと思っています。「障害者だから」ということで、背中を丸めているんではなく、どんと前に出ていってほしいですね。

聞き手:野球はいろいろなことを教えてくれますね。ところで、今年のチームの目標は優勝ですよね(笑)?

矢本:もちろんです!特に11月に行われる、全日本大会は、関東チームで優勝したチーム、各ブロック6チームしか出られない試合なので、非常にレベルの高い大会です。今年もぜひ出場して、ブルーサンダース旋風を起こしたいと思っているんですよ。選手たちは優勝して、私を胴上げしたいと言っていますが、年々重くなっているので、早く優勝しないと胴上げができなくなるのでは、とひやひやしています(笑)。選手たちの優勝したいという夢を、どうにか叶えてあげたいですね。

聞き手:ぜひ、優勝して東京ブルーサンダース旋風を巻き起こしてください。最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

矢本:まだまだ野球をしたくても、活動できる場がないと思っている障害のある人がいると思います。うちのチームはもちろんですが、全国の障害者野球チームは皆さんの参加を待っていますので、ぜひ、気軽に声をかけて下さい。一緒に練習して強くなりましょう。ということですね。

聞き手:「障害」を持っていることにとらわれることなく、可能性を広げていけたなら、とても嬉しいことですね。お忙しい中、本日はありがとうございました。

プロフィール

1964年5月31日生まれ
矢本 敏実/やもと としみ

写真:矢本敏実/やもととしみ1964年5月31日生まれ
東海大学体育学部社会体育学科卒
準硬式野球部
1994年 日本障害者スポーツ協会入職
2005年 東京都障害者スポーツ協会転籍
東京都障害者スポーツセンタースポーツ支援室地域振興担当主査
公認上級障害者スポーツ指導員
公認スポーツコーチ
日本障害者指導者協議会スポーツコーチ協議会事務局長

1996年 アトランタパラリンピック自転車競技監督
2000年 シドニーパラリンピック自転車競技コーチ

東京ブルーサンダースについてより詳しく知りたい方は、ホームページをご覧ください。(新しいウィンドウが開きます)

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