その操作、本当に誰でもできる?ジェスチャ操作に潜む落とし穴とは‐第32回‐

イラスト:左下に「秘書」、右下に「師匠」、中央には右手を上げた「見習い君」

イラスト:笑顔の秘書秘書:前回、見習い君は地図サイトで「ピンをドラッグ操作しなくても、ボタンで移動できる仕組み」を実装しました。手や指が不自由な人にも配慮した、良い改善です。ですが、その地図サイトをよく見てみると……まだ気になる点がありそうです。

ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある人たちがウェブ利用時にどのような障壁にぶつかり、どのような工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。

ジェスチャを使った操作で見落としがちなアクセシビリティ配慮事項

イラスト:笑顔で後ろで手を組む師匠

師匠:見習い君、前回の地図サイトの修正、よくできておったな。
ピンの移動も、ドラッグ操作に頼らずボタンでできるようになっておる。

イラスト:笑顔で答える見習い君

見習い君:ありがとうございます!
ドラッグ操作が難しい人もいるって教えてもらったので、「移動」ボタンを押すだけでピンを動かせるようにしてみました。

師匠:うむ。
手や指を自由に動かせない人にとっても使いやすくなった。
とても良い改善じゃ。

見習い君:ですよね!
これで、だいぶアクセシビリティに配慮できた気がします。

師匠:では、その地図をもう少しだけ、よく見てみようか。

イラスト:右の手のひらを差し出し意見を聞く見習い君

見習い君:え?
ピンの移動以外にも、何か問題がありますか?

イラスト:顎に手を当て考える師匠

師匠:うむ。
この地図の拡大・縮小は、どうやって操作するんじゃ?

見習い君:えっと……
指でつまんで拡大・縮小する、ピンチイン・ピンチアウトですね。

イメージ画像:(図1)地図をピンチインしている様子」;(図2)地図をピンチアウトしている様子」

師匠:なるほど。
では、拡大・縮小はその方法だけじゃな?

イラスト:笑顔で答える見習い君

見習い君:あっ……確かに。
ピンチイン・ピンチアウトだけですね。

師匠:ピンチイン・ピンチアウトは、2本の指を同時に使う操作じゃ。つまり・・・?

見習い君:・・・そうか。
2本の指を同時に動かすのが難しい人もいますよね。

師匠:そのとおりじゃ。
手や指が不自由な人の中には、健常者と同じように2本の指を同時に画面に触れて動かすことが困難な場合がある。

見習い君:そうなると、今の作りだと拡大・縮小ができなくて、地図を使うのが大変になってしまいますね。

イラスト:笑顔で後ろで手を組む師匠

師匠:うむ。前回は「ピンの移動」をボタン操作でもできるようにしたじゃろう。
同じように、拡大・縮小にも別の操作手段を用意すると良い。

見習い君:例えば……
拡大用の「+」ボタンと、縮小用の「-」ボタンを置く、ですか?

師匠:そうじゃ。
ちなみに、拡大・縮小の方法としてスライダーを使うケースも見かけるが、これも注意が必要じゃ。
スライダーは、バーに沿って上下や左右に正確に動かす必要があるじゃろう。
そうすると、これまた操作が難しい人が出てきてしまうのじゃ。

イラスト:手をポンと叩く見習い君

見習い君:なるほど……。
見た目は分かりやすくても、操作自体が負担になることがあるんですね。

師匠:うむ。
もちろん、ピンチイン・ピンチアウトやスライダーの操作は直感的で、多くの人が慣れている操作じゃ。
だから、そのまま実装していて問題はない。

見習い君:「消す」のではなくて、「追加する」ってことですね。

師匠:うむ。
他に難しい操作としては、複数の指でのタップやスワイプ、1本目の指を画面上に置いて2本目の指をタップするスプリットタップなどがある。これらの操作も代わりの方法として、1本指で操作できる仕組みを用意することが重要じゃ。
そして、もう一つ、気になるところがある。

見習い君:えっ、まだあるんですか?

師匠:この地図の横にある「地図を印刷する」ボタン、動きを確認してみるのじゃ。

イメージ画像:「地図を印刷する」ボタンをクリックする様子
イラスト:ながらスマホをしている見習い君

見習い君:あ、すぐ印刷画面が出ますね。

師匠:そう。
このボタンは、触った瞬間に動作しておる。

見習い君:確かに……。
タップしたら、すぐに画面が切り替わります。

師匠:本来、テキストリンクやボタンといった操作要素は、押したあとに、その動作をキャンセルできるようにしておく必要があるのじゃ。

見習い君:今のままだと、触ったら即アウト、ですね。

師匠:例えば、指の震えが止まらない人や、力が入りにくい人は、意図せず画面に触れてしまうことがある。

見習い君:あっ……。
その瞬間に動作してしまうと、意図しない画面に行ってしまいますね。

イラスト:人差し指を出して説明する師匠

師匠:それが何度も繰り返されると、「このページは使いづらい」「もう見たくない」と感じてしまうこともあるじゃろう。

見習い君:確かに……。
操作ミスが続くと、使うのが嫌になります。

師匠:だから、動作するタイミングはタップして、指を画面から離したときにする。
そして、途中で指を横にずらせばその操作をキャンセルできるようにするのじゃ。

見習い君:なるほど!
間違ってリンクやボタンに触っても、そのままキャンセルできるようにする必要があるんですね。

師匠:うむ。
操作できることだけでなく、安心して操作できることも大切なのじゃ。

イラスト:笑顔で答える見習い君

見習い君:分かりました!
前回の改善に満足せずに、拡大・縮小の操作や、ボタンの動作タイミングもしっかり見直します!

師匠:うむ。その姿勢が大事じゃ。

イラスト:案内する秘書

秘書:前回、ピンの移動をボタン操作でもできるようにした見習い君。今回はそこから一歩進んで、
・2本指が必要な操作に代わる手段を用意すること
・誤って触れても、すぐに動作してしまわない配慮の大切さに気づくことができました。慣れている操作を残しつつ、誰でも安心して使える工夫を重ねることが、ウェブアクセシビリティではとても重要です。
詳しくは、以下の参考情報をご覧ください。

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