4月13日に大阪 夢洲(ゆめしま)で開幕した大阪・関西万博。
会場を想像してみてください。最先端テクノロジーがもたらす数々の驚きと発見。そこではきっと、未来の世界に触れるような、想像を超えるワクワク感が体験できるでしょう。
そして、180を超える数のパビリオンの中でも特に注目したいのは、将来の情報通信基盤となる可能性を秘めたIOWN(アイオン)テクノロジーを体験できるNTTパビリオンです。
そこで今回は、障がいのある人やベビーカー連れの人でも、スムーズに体験できるNTTパビリオンのバリアフリー情報をご紹介します。
(注)IOWNについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

NTTパビリオンの概要
「PARALLEL TRAVEL(パラレル トラベル)」をテーマに、次世代情報通信基盤「IOWN」を活用した展示体験が特徴です。
さらに、敷地面積3,600平米の中は、ゾーン1からゾーン3までの3つの建物に分かれており、順に進むことで新しいコミュニケーションのあり方を体験できる「時空を旅するパビリオン」を表現した構造になっています。
NTTパビリオンは、夢洲駅から直結している東ゲートから入って右手に位置しており、東ゲートから来場する場合は急な勾配もなく、たどり着けるため、障がいのある人やベビーカー連れの人もアクセスしやすいです。
NTTパビリオンについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

プログラムと配慮
待機エリア
NTTパビリオンは待機エリアから楽しめることも大きな特徴の一つです。その理由は、外装に施された「幕」と「カーボンワイヤー」にあります。
まず、「幕」にはおよそ18万枚の布が取り付けられており、ゾーン2を体験中の来場者の表情に連動して動く演出が施されているため、待機中の期待感が高まります。
そして、1,500本が設置された「カーボンワイヤー」の中には、触れると音の鳴るものがあり、その音色もワイヤーによって異なるため、待機中のお子さんも存分に楽しめるでしょう。
待機中の人に対しても、さまざまな配慮が用意されています。会期中の熱中症対策としてミストやスポットクーラーが設置され、日傘の貸し出しも行われます。
それらは、障がい特性により体温調整が苦手な人にとっても快適に過ごせる配慮になっています。
その他、障がい特性などによりトイレが心配な人は、東ゲートに設置されているバリアフリートイレが最も近いため、来場時に場所をチェックしておくことをおすすめします。
ゾーン1
およそ3分半の映像を体験できます。
ここでは、通信技術の発達によって、コミュニケーション方法が進化していく様子が映し出されます。
四角形の室内は、1つの角がスクリーンの中央となるように斜めに配置された作りです。
なお、車いすユーザが人影で見えづらくならないように、右側前方のスペースに案内されます。
壁沿いに展示されている電話機やタブレット端末などからも、手紙から電報、電話からインターネットへと、時代とともにコミュニケーションの方法が多様化してきた流れを感じ取ることができるでしょう。

ゾーン2
NTTパビリオンの一番の見どころであり、IOWNを活用したコミュニケーションが体験できます。
現在のコミュニケーションである音声通話や2Dビデオ通話といった聴覚と視覚のみならず、今後はIOWNを活用することで、空間と触覚を転送し、相手をより身近に感じられる「未来のコミュニケーション」が体験できます。
具体的には、1970年の万博会場であった万博記念公園で、女性3人組のアイドルグループであるPerfumeが行ったパフォーマンスをIOWNで転送し、音声と振動、そして空間そのものである3D映像を2025年の万博会場でリアルタイムに再現した模様を追体験できます。
視覚と聴覚に加えて触覚を使ったアプローチは、視覚や聴覚に障がいのある人にとっても、音楽やPerfumeの足音に合わせて振動するため、視覚や聴覚に障がいがあっても一層楽しめます。
また、車いすユーザでも、足元の振動が手のひらで感じられる装置がありました。手以外の身体の部位(例えば顔など)でも振動に触れやすいように、フェイクファーで覆われた球体のデバイスです。それにより、車いすユーザでも分け隔てなく振動を感じ、パフォーマンスを楽しめます。

ゾーン3
さて、ゾーン2までは他者との「未来のコミュニケーション」にフォーカスされていましたが、ゾーン3は自分自身とのコミュニケーションに向き合います。
入室時にカメラでスキャンした情報をもとに動きや声を発する、Another Meという来場者の分身を映し出します。
そこでは、デジタルを通して自分自身に出会えるため、新しい自己理解ができるという未来社会を体感できます。
入室時のスキャンは、来場者の体全体を立った状態でスキャンしますが、車いすに座ったままでもスキャンができるため、車いすユーザもAnother Meを作れます。
また、ゾーンごとの移動は廊下を経由しますが、一連のプログラムを体験し終えるまでに段差や階段がなく、ベビーカー連れの人や車いすユーザでもストレスなく楽しめます。
バリアフリーに配慮されたパビリオン
『いのち動的平衡館』
福岡伸一氏が「いのちを知る」をテーマにプロデュースしたパビリオンです。館内ではLED演出を通して生命38億年のドラマが体験できます。
車いすやストレッチャーでの来場はもちろん、視覚や聴覚に障がいのある人も楽しめるようアクセシビリティーゾーンがあるなど体験に工夫がされています。
アクセシビリティゾーンでは、球状の振動デバイスや、床の振動と映像のリンク、ヘッドホンを活用した音声ガイド、タブレットでの字幕表示の配慮がされています。
視覚障がい、聴覚障がいのそれぞれの特性に応じて必要な情報を感じ取れるよう、異なる振動を発する工夫もされています。
いのち動的平衡館についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
NTTパビリオンのバリアフリー情報はいかがだったでしょうか。
私のおすすめは、ゾーン3を出た場所に設置されている公衆電話と緑色の筐体(きょうたい)です。
公衆電話は受話器を取ると、利用が活発だった頃にされていた会話が流れ、それも選択番号によっては大阪弁で音声が聞けます。
そして、緑色の筐体については、約600m離れた場所に設置されている同様の筐体と、音声とモニターを通した視覚情報に加えて、触れた圧力や振動を感じられる触覚情報も共有することでコミュニケーションをとることができます。
過去と未来、どちらのコミュニケーション方法も体験できるため、あらゆる年代の方におすすめです!
ふれあう伝話についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
