WCAG 2.2が正式勧告!‐第18回‐

イラスト:左下に「秘書」、右下に「師匠」、中央には右手を上げた「見習い君」

イラスト:案内する秘書秘書:2023年10月5日、遂にWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG)2.2がW3C正式勧告となりました。
以前の記事(JIS X 8341-3とWeb Content Accessibility Guideline‐第13回‐)でも述べましたが、WCAG2.2は勧告以前の段階から、WCAG2.0の後継としてISOの改定候補となることを念頭に審議が進められてきました。
WCAG2.2の正式勧告により、ISO 40500の改定手続きも、今後進められていくこととなります。
ISO 40500が改定されれば、一致規格であるJIS X 8341-3も改定が確実となるため、ウェブアクセシビリティにとっては大ニュースです。師匠と見習い君も、この話題で持ちきりのようです。

ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」と「師匠」がアクセシビリティな世界を目指す
このストーリーは、新人ウェブアクセシビリティ職人「見習い君」とベテラン職人「師匠」、解説を担当する「秘書」を通して特に障がい者をはじめ身体的な制約がある方たちがウェブ利用時にどの様な障壁にぶつかり、どの様な工夫をして克服しているかなど「ウェブアクセシビリティ」の実例をはじめ「ウェブアクセシビリティ」と共に重要な「社会的アクセシビリティ」についても紹介していきます。

WCAG 2.2が正式勧告!

イラスト:右手を差し出して意見を聞く見習い君

見習い君:やっと、正式勧告になりましたね!

師匠:少々すったもんだもあったが、無事勧告されて一安心だな。これでJIS X 8341-3改定に向けて、心おきなく準備ができるな。ところで、見習い君はWCAG2.2の勉強は進んでおるのか?

見習い君:いやぁ、まだ英語の資料しかないので…。日本語訳が出たら、本腰を入れようかと。

イラスト:人差し指を立てている師匠

師匠:仕方がない。じゃあ、特別にWCAG2.2のポイントについて教えてやろう。

見習い君:はい!お願いします!

WCAG2.2とは?

見習い君:WCAG2.0と2.2の違いは何ですか?

イラスト:後ろで手を組む師匠

師匠:ざっくりと言えば、達成基準が増えたことが、一番の違いだろうな。とりあえず、WCAG2.0からWCAG2.1と2.2で、どれぐらい達成基準が増えたのか、見てみようか。

WCAG各バージョンのレベルごとの達成基準数

  WCAG 2.0 WCAG 2.1 WCAG 2.2
レベルA 25 30 32
レベルAA 13 20 24
レベルAAA 23 28 31
61 78 87

見習い君:うわぁ、すっごい増えてるじゃないですか。AAAまで入れると26個も増えたんですね。

イラスト:人差し指を立てている師匠

師匠:2.0から2.2勧告までは、10年近く間が空いているから当然といえば当然だな。主に、

  • ・ロービジョン(弱視)や認知機能に障がいのある利用者を想定した達成基準
  • ・スマホやタブレットなどのモバイルデバイスによるウェブサイトの閲覧のため、キーボード以外の、マウスのポインタによる操作、指やタッチペンを利用したタッチ操作、音声入力を想定した達成基準

が多く追加されているのじゃ。
特に、キーボード操作には対応する達成基準が以前からあったが、スマホやタブレット、その他のモバイルデバイスなど、キーボードがデフォルトでは付属していないデバイス普及の影響だな。

イラスト:問いかける見習い君

見習い君:なるほど~。確かにWCAG2.0が勧告された2008年には、スマホを持っている人なんて見た記憶がないですね。
でも、ロービジョンや認知機能に障がいのある人向けの達成基準って、2.0にもありませんでしたっけ?

師匠:テキストのサイズ変更に関わる達成基準や文字色とコントラストに関する達成基準など、一部はレベルAやレベルAAにあるんだが、ほとんどはレベルAAAに集中していたからな。

見習い君:え、レベルAAAだと何か不都合があるんですか?

師匠:レベルAAAの達成基準は、ウェブサイトへの実装やチェックが難しいものも多くて、サイト製作者の負担が大きくなってしまう傾向がある。
そして、WCAGやそれらをベースにしたJIS X 8341-3では、レベルに適合や準拠をするためには、該当レベルの達成基準を全て満たさなければならないのじゃ。
そんな事情もあって、扱いが難しく数もレベルAやAAと比較してかなり多いレベルAAAの達成基準は、サイト製作者にあまり考慮されてこなかった経緯があるんだ。

見習い君:それで、レベルAやAAに追加されたことに意義があるんですね。

イラスト:後ろで手を組む師匠

師匠:その通りだ。
WCAG2.2は、一言で言えばWCAG2.1のブラッシュアップ版と言っていい。新規追加の達成基準の傾向も2.1とそれほど変わってはいない。ただ、4.1.1の達成基準が除外されたことが大きいのじゃ。

見習い君:え、除外された達成基準があるんだ!確か、4.1.1って、文法エラーに関する達成基準でしたよね?

師匠:そうじゃ。

イラスト:悪い顔の見習い君

見習い君:じゃあ、文法エラーはこれからチェックしなくていいんですね?やったぜ!

師匠:こらこら、早合点するな。
文法エラーがあっても、適合や準拠に影響しないというだけだ。文法エラーが原因でその他の達成基準を満たせない場合は、今まで通り修正の必要がある。

見習い君:えぇ、そんな…。

師匠:まったく、楽することばかり考えおって。

結局、JISはいつ改定されるの?

イラスト:後ろで手を組む師匠

師匠:JIS X 8341-3の改定手続きは、ISO 40500が改定されることが一応前提条件になっている。WCAG2.2をベースにISO 40500が改訂され、JISに採用されるまで、1、2年はかかると考えるのが通常だろうな。ただ、JISも7年間改定されていないので、改定を急ぎ急ピッチで進む可能性もあるし、何とも言えないが。

見習い君:じゃあ、だいぶ余裕がありますね。

師匠:いやだから、急ピッチに進む可能性もあると言っているだろう。
JIS改定までに間に合うように、WCAG2.2の理解を進めて行くぞ。

見習い君:はい!お手柔らかにお願いします。

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