視覚障がい者向け歩行ナビ「あしらせ」開発者にインタビュー!

視覚障がいのある人の中には、周囲の状況を把握することができず、一人で歩くことに不安を感じている人もいます。そのため、盲導犬やガイドヘルパーと一緒に出かける人などもいて、サポートを必要としている人は多いです。
そうした人たちのサポートをしたいという考えから、株式会社Ashiraseが視覚障がい者向け歩行ナビ「あしらせ」を開発しました。
今回は、視覚障がいのある編集部員が、代表の千野さんに「あしらせ」の開発経緯などについてインタビュー!その内容をご紹介します。
ぜひ、ご覧ください。

写真:あしらせを付けたスニーカーをBluetoothでスマートフォンにつなげている

「あしらせ」とは

くつの中に振動させる装置を入れて、スマートフォンアプリと連動させて使用します。
スマートフォンから情報を装置に送信して、振動させる仕組みです。振動する部分は、足の甲と横側面になります。

イラスト:スマートフォンからの情報を甲・外側・かかと振動モーターで知らせている

「あしらせ」の技術を通して人の豊かさにつなげたい

聞き手: それでは最初に、視覚障がいのある人向けに歩行ナビ「あしらせ」を開発しようと思ったきっかけについて教えてください。

千野さん: 写真:編集部員と話す千野さん 私は、ホンダ技術研究所で、電気自動車の自動運転システムなどに従事してきたエンジニアで、現在は株式会社Ashiraseの代表をしています。
今から3年ほど前、妻の祖母が足を滑らせ川に転落して、亡くなる事故がありました。義祖母に視覚障がいがあり、川辺を歩いていて転落して4日間安否が確認できなかったのです。その時、自分に何かできなかったのかといろいろ考えました。
そこで、「歩く」という課題に向き合い、「歩行ナビ」に取り組むことにしたのです。

聞き手: 私は弱視で、中途の視覚障がいになるのですが、もともと「見えない・見えにくい」などさまざまな人がいますよね。

千野さん: そうだと思います。「あしらせ」で私たちがメインターゲットの一つとしたのは、中途で弱視の人たちです。
なぜそうしたかというと、弱視の人は残っている視力で「見て」確認されているので、そこに意識が集中すると不安全になってしまうことがあり、そういった点をサポートしたいと思ったことが理由の一つです。
今の私たちが目指す製品に、安全を確認しながら歩くというのが前提にあり、これは、もともと自動車の安全装置で取り組んできたことにつながっています。

聞き手: 写真:千野さんと話す編集部員なるほど。
では、ここから「あしらせ」についてお聞きしたいと思います。使い方を教えてください。

千野さん: まず、「あしらせ」を装着した靴を履き、スマートフォンのアプリに行き先を設定します。さまざまな地図アプリが出ていますが、それと同じでGPSを使って行き方をナビゲーションしてくれます。
「あしらせ」自体は、直進するときには間隔をあけて両足が振動します。そして、左に曲がるときは5メートルくらい手前から、左足の振動する間隔が短くなることで、直進との違いや何かあるということを促します。そうすることで、一度止まって確認することができ、突発的に道路に出ることを防ぎます。
振動を続けているのには、「この道で合っている」という安心感と、故障したときの違いがわかるようにしています。

写真:実証実験で狭い道を視覚障がい者と一緒に歩く千野さん

聞き手: それ以外に何か工夫されていることはありますか?

千野さん: くつを履くだけで、自分の向いている方向がわかるようにしたのは、これまでの歩行ナビにはなかった点です。また、歩いてきた軌跡がとれるようにしているのも特徴です。目的地の入力や、設定の確認は、音声や画面タッチでの入力など選べるように開発を進めています。

聞き手: さまざまな工夫をされているので、大変なことも多いと思います。どのような課題がありますか?

千野さん: 現在はスニーカーや革靴をメインに製作していますが、パンプスにも対応したいと考えています。
視覚障がいの人たちは、身につけるうえで大事だと思っているのがオシャレ感とかかっこよさです。見た目を重要視されている人が多いので、色や形は試行錯誤しています。
それと、振動からの情報と音声からの情報のバランスです。音声情報が多いとどうしても理解するのに時間がかかってしまい、「聞く」ことに意識が集中してしまいます。そのまま歩き続けるのは危険ですので、どちらの情報もわかりやすくなるよう調整したいです。
あとは、GPSを使っていますので、地下や建物内に入ると情報が取れなくなりますので、そこをどうするかです。
建物内のWi-Fiやbeaconをうまく使っていく必要があり、「あしらせ」だけで解決できないので、ここは、もう少し先の課題になりますね。

写真:実証実験で点字ブロックの上をあしらせを付けて歩く視覚障がい者の足元のアップ

聞き手: それでは最後に、「あしらせ」の今後についてお聞かせください。

千野さん: これから改良を重ねて、2022年10月の販売を目指しています。販売してからも基本的には、ソフトウェアのアップデートを繰り返していき、ナビゲーション以外にも様々な機能を追加していく予定です。
今のターゲットは弱視の人ですが全盲の人など、さまざまな人に利用できるようにしたいです。
ゆくゆくは、海外へも進出したいと考えています。そして、私たちの技術開発を通して「歩く」ことが安心・安全になり、人の豊かさにつながていくことが一番大切だと思っています。

聞き手: 「あしらせ」の販売を楽しみにしています。本日は、どうもありがとうございました。

企業情報

社名:株式会社Ashirase
所在地:栃木県宇都宮市元今泉2丁目11-6

「株式会社Ashirase」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
編集後記

視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステムは、これまでにもさまざまなものが活用されています。
その多くは、スマートフォンのアプリを使用しています。
今回ご紹介した「あしらせ」もスマートフォンのアプリを使用し、さらに装置を足につけてその振動から情報を伝える点は今までになかったものです。より安心して歩けるようになると感じました。
今後も来年の販売に向けて、使いやすくなるように視覚障がい当事者からの意見を取り入れて、開発を進めていくそうです。

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