開発者にインタビュー!手話を取り入れた「異言語脱出ゲーム」

2021年01月19日掲載

数年前から暗号やパズルなどを解き明かし、制限時間内に閉鎖空間からの脱出を目指す「謎解きゲーム」が話題となっています。読者の中にも楽しまれている方もいらっしゃると思います。そのような中、「異言語脱出ゲーム」があることをご存じでしょうか?
異言語と聞くと、英語など他国の言語をイメージするかもしれませんが、このゲームは、誰もが一度は目にしたことのある「手話」を異言語として体験するゲームです。
「手話ができないから参加できないのでは?」と思うかもしれませんが、異言語なので、手話以外にも音声や身振り、筆談などの様々なコミュニケーションツールを使い楽しむことができるゲームとなっています。
今回は、異言語脱出ゲームを作っている一般社団法人異言語Lab.の代表理事の菊永ふみさんに、ゲームに手話を取り入れたきっかけなどを伺っています。ぜひ、ご覧ください。

写真:異言語脱出ゲームの参加者とスタッフの集合写真

異言語脱出ゲームとは

ろう者(手話を言語とする者)をキャストに、手話や音声、日本語を織り交ぜた謎の数々に対し、あらゆるコミュニケーション手段を使ってミッションをクリアしていく「非日常」を楽しむ新感覚のゲームです。
実際にろう者と会話を交わしながら、謎を一つひとつ解いていく、他にはない緊張感と「手話」を通した異言語交流が楽しめるようになっています。
施設会場を利用した集合形式の他、オンラインを使用したゲーム・イベントが行われています。

○ゆうゆうゆう編集部員もゲームを体験!

写真:リモートDEお化け退治大作戦のチラシ 1チーム6人がオンライン上で協力し合い、制限時間60分以内にミッションのクリアを目指す体験型ゲーム・イベント「リモートDEお化け退治大作戦~遺された想い~」をゆうゆうゆう編集部員が体験!
謎解き初心者方向けのノーマルコースを選択しましたがクリアできず。それでもゲームの面白さが体験できました。

異言語脱出ゲーム開発者「菊永さん」に伺いました!

聞き手: 本日はよろしくお願いいたします!!「異言語脱出ゲーム」とはどのようなゲームですか?

菊永さん: 写真:実際に参加者がゲームをやっている様子 異言語脱出ゲームは、手話や音声、身振りなどのコミュニケーション手段を使いながらミッションを達成していく謎解きゲームになります。
謎解きゲームがブームになりつつあるときに、その面白さに惹かれ、たまたま作ってみたゲームがどんどん大きくなり、異言語脱出ゲームが生まれました。

聞き手: 異言語脱出ゲームはコミュニケーションが大切になると思っていますが、いかがでしょうか?

菊永さん: 友人と謎解きゲームをやる中で、うまく情報共有ができず、ミッションが失敗することがありますし、逆に、うまく共有できて成功することもあります。
つまり、参加者全員で情報をうまく提供しあうことで謎が解ける仕組みになるよう、心掛けています。
初対面同士、言語が異なる者同士が必死に伝え合うことで前に進んでいくうちに絆が芽生え、その喜びを感じられることが異言語脱出ゲームの魅力だと思います。

聞き手: 異言語脱出ゲームをはじめようと思ったきっかけは何でしょうか?

写真:コロナ対策でパーティション越しでインタビューに手話で受け答えする菊永さん

菊永さん: 子どもの頃、芸能人が謎解きゲームをして宝を探す番組を見てやってみたいなと思っていました。
あれから10年ほど前、謎解きゲームが広がり、一般の人が気軽に参加できるようになりました。ただ、司会者や参加者は音声でゲームを進めているので、ろう者である私が参加するのは難しいと悔しい思いをしました。
ある日、大学時代の聴者の友達に久しぶりに会ったときに、謎解きゲームに誘われて参加することになりました。初対面の方とその友達と、音声は分からないけど、身振りや手振り、友達の通訳を見ながら謎を解き、いいところまで行きました。チームと協力し合って、ミッションをクリアしていく快感、またその非日常空間に没頭でき、あっという間の1時間でした。
また、ろうの子どもたちの施設の児童指導員をしており、園長に「この間、謎解きゲームをやってすごく面白かったんだ!」と話したら、「やってみたらいいじゃない」と言われ、実際にある証券会社の方々との交流会でやったのがきっかけです。

聞き手: さまざまなゲームがある中で「謎解き」に着目した理由を教えていただけますか?

菊永さん: 実は私、テレビゲームが苦手なんですよ…テレビゲームのコントローラーを上手に扱うことができず、二次元の世界なのでゲームの世界に入り込めずにいました。
しかし謎解きゲームは自分が非日常空間に入り、主人公になった気分でプレイすることができることに面白さを感じていました。
謎解きゲームは、コミュニケーションが大事です。ミッションをクリアしなければならない思いで、異なる言語を持つ者同士が必死に伝え合い、協力していくという、謎解きゲームの仕組みが「異言語」にうまくハマったのだと思います。
ただ、当時はたまたま作ってみたことが、たくさんの方々の後押しをいただき、思いがけずに広がっていったという感覚の方が近いです。

聞き手: 異言語脱出ゲームを通して達成感はどんな時に感じますか?

菊永さん: 単純に、参加者の方々から「面白かった」「楽しかった」という感想をいただくと、うれしいですね。
今、謎解き団体はたくさんあり、どれも非常に面白く、解きごたえのあるコンテンツを日々生み出しています。
しかし異言語Lab.は、手話という言語を使い、ろう者とやりとりをしながら謎解きをしていくことは他の謎解き団体ではできない体験であり、私たちの大きな強みだといえます。謎解きを通して、手話だけではなく身振りや筆談を使いながら人に何かを伝えたい、分かりたいとする思いが生まれることがとても面白かったと言ってくださると、制作者として大きな達成感を覚えます。

聞き手: コロナ禍で工夫されたこと、大変だったことはありますか?

写真:参加者がPCに映し出されてる画面

菊永さん: 新型コロナウイルスが流行して、準備を進めていたさまざまなイベントが滝のように流れて消えていきました。
異言語脱出ゲームは沢山の人たちが関わり、その場でコミュニケーションを取りながら謎解きをする、まさに密なゲームです。
緊急事態宣言後、しばらくオンラインでの打ち合わせが続きましたが、ろう者の場合はオンラインでは音声ではなく、うなずきや視線、表情、手話、身振りを中心に会話をします。
それらのコミュニケーションは、ろう者にとって当たり前の手段ですが、その表現する力、見る力がwithコロナでは非常に強みになると感じました。
その気づきから何かできないかと考え、オンライン×異言語脱出ゲーム「お化け退治大作戦~遺された想い~」を作りました。
4月から構想を練り、5月、6月と実験を重ね、7月に実験版「お化け退治大作戦」を開催しました。その検証結果を基に更に実験と研修を行い、12月と1月にブラッシュアップして開催しています。ろう者の役者と音声以外の手段を駆使して試行錯誤しながら伝え合い、分かり合いながらの謎解きで、通常の謎解きにはない新鮮な体験ができると参加者から好評です。
「オンラインだけど密になれるゲーム」その言葉を参加者からいただいた時、非常にうれしかったです。

聞き手: 最後になりますが、今後の展望を教えてください。

菊永さん: 私たちのミッションは「異を楽しむ世界を創る」です。
「異なる人」や「異なる言語」を通じた、能動的なエンターテインメントと「伝え合う」をテーマにした芸術文化体験を提供し、世界中の人々と新しい価値を生み出していきます。
写真:コロナ対策でパーティション越しでインタビューに手話で受け答えする菊永さん 異言語脱出ゲームだけではなく、さまざまなエンターテインメントや芸術文化体験を提供し、視覚言語が音声言語と同じように普及する未来へ、異なる者同士が向き合う面白さで溢れる未来へ、私たち自身も異なる者・文化に向き合うことを楽しみながら頑張っていきたいです。

聞き手: 今後、異言語脱出ゲームがより世間に広がることに期待しています。今回はどうもありがとうございました。

○体験したゆうゆうゆう編集部員の感想

オンラインゲームに参加するゆうゆうゆう編集部員 私は初めてこのゲームに参加しました。 オンラインゲームのため、車いすユーザの私でも気軽に参加できるのは嬉しかったです。
詳しいゲームの内容はお伝えできませんが、はじめはコミュニケーションがメインのゲームかと思っていました。
しかし、出題されるミッションが本格的な謎解きのため、頭をフル回転してチームについていくのに必死でした。
今回は残念ながらミッションをクリアすることができませんでしたが、次回、機会があればリベンジしたいと思います!

編集後記

今回は、異言語脱出ゲームの制作者である、菊永さんにお話を伺いましたが、いかがだったでしょうか?
このような状況だからこそ普段聞くことのできないコロナ禍で大変だったことや工夫したことを交えて語ってくださいました。
インタビュー中は、異言語脱出ゲームに対する熱い想いがすごく伝わってきました!
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、異言語脱出ゲームは今後もオンラインにて開催することがあるかもしれません。参加してみたいと思った方はぜひ、ホームページなどでチェックしてみください。
「異言語ラボ 異言語Lab. 」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)
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