障がい当事者から見た高尾山のバリアフリー状況-part.2

写真:薬王院入口の銅像

前回に引き続き、「高尾山のバリアフリー状況」part.2をご紹介します。
今回は薬王院から頂上までのルートです。
車いすでもサポートを受けながら、砂利道、傾斜のある道を進みました。
ぜひ、ご覧ください!

薬王院から山頂までの道のり

写真: 薬王院までは舗装された道のため、車いすでも、少しのサポートがあれば行けましたが、ここから先は、坂道や砂利道が続き、かなり困難…。 決して、軽い気持ちで山頂は目指さないでください。
写真:薬王院から坂までの狭い通りを車いすで通っている様子 迂回路ルートを進むとすぐに段差があります。サポートの手を借り、段差をクリアし、車いす一台がやっと通れる細い道を進みます。

ここからは、しばらくサポートが必要になります。
写真:砂利道の坂道入り口   イラスト:傾斜12°
サポートする方は、押すだけではなく、車いすの前輪が石や段差に引っかからないよう、慎重に道を選んでいきます。
また、視覚障がいのある方には、段差の状況や周りの景色などを伝えると良いでしょう。
写真:緩い坂道を上る車いすの編集部員と、弱視の編集部員 砂利道を悪戦苦闘すること約40分、もうすぐ砂利道が終わるという最後の道は急勾配です。
写真:車いすで急勾配の砂利道から舗装されている道に出る様子   イラスト:傾斜15.5°
急勾配の坂は途中から舗装されていて、頂上の一つ手前の休憩所に到着。
こちらには水飲み場や檜の香りが漂う多目的トイレがあります。 写真:檜で出来た休憩所の建物   写真:多目的トイレの様子

写真:山頂に向かう最後の坂道を介助者と弱視編集部員が歩いていく様子 ここから頂上まではあとわずかです。
舗装された道ですが、急な坂道のため、車いすの方はサポートが必須です。
イラスト:13°

写真:山頂標識を真ん中にして並ぶ編集部員 さまざまな難関を超え、休憩をしながらようやく高尾山の頂上に到着!
写真:ビジターセンターに隣接している多目的トリレ 頂上にあるビジターセンターには、隣接して多目的トイレがありますが、石畳の坂を上り下りするため、トイレは一つ手前の休憩所で済ませておくと良いかもしれません。

高尾山周辺情報

高尾599ミュージアム

写真: 高尾山の豊かな自然の中にある植物や動物たちの四季折々の生態系、高尾山にまつわる歴史を楽しむことができるミュージアムです。
プロジェクションマッピングの手法を用いた映像で、高尾山の魅力を満喫できます。
こちらには、多目的トイレが完備されています。 写真:

編集部員からのコメント

車いす利用者

私は、車いす利用者になってから登山をしたのは初めてでした。
仲間の協力で山頂までたどり着き、その達成感は格別です!
ただ、薬王院から山頂までは、体力に自信がある方や、電動車いすを利用する方であっても、一人では上り下りするには厳しい急勾配や段差、砂利道などが出てくるので難しいと感じました。
また、車いすに何らかの不具合が生じる可能性も考えられます。
こうしたことを踏まえて、車いす利用者1名に対して、最低でも2名は介助が必要だと感じました。
その他、駅周辺にはバリアフリーの観光スポットが色々あるので、登山以外も楽しみたいという方は時間に余裕を持って行くことをお勧めします。
車いす利用者の方はできるだけ、一人だけではなく、何人かで協力しながら楽しんでもらえたらと思います。

視覚障がい者(弱視)

高尾山に行ったのは初めてです。視覚に障がいのあると登山は難しいと思われがちですが、登山を楽しむ視覚障がいの人はたくさんいます。
今回は、車いすでも行けるルートを選んでいますので、比較的歩きやすいコースでした。と言っても一人では難しいので、サポートを受けながら登りました。
自然の中を歩くのはとても気持ち良く、草や土の香り、心地よい風を感じながらの登山は最高です。
道のりが悪い場所で仲間に助けられ、山頂に着いた時の達成感は格別です。
一緒に行った仲間から周りの景色を説明してもらい、その雄大さに感動しました。
普段、マラソンをしている私は体力に自信はありますが、使う筋肉が違うからか、かなり筋肉痛になり、よい体験ができたと思います。
視覚に障がいがあっても、登山は充分楽しむことができます。
おいしい食べモノもあるので、高尾山はおすすめです。

イラスト:編集後記

写真: 取材に訪れたのは9月下旬の平日でしたが、たくさんの登山客でにぎわっていました。
山頂では、ほんの少し紅葉が始まっていましたが、これからが本番です。
高尾山登山のバリアフリー状況は、ルート全般では車いすで走行できますが、所々で車いすだけでの走行は難しいと感じます。
サポートの方の手を借りて進まないと行けません。
特に、薬王院から頂上までは砂利道なので、注意して車いすを押す必要があります。
登山には何が起こるか分かりませんので、誰か必ずサポートできる人たちと一緒にいくことをおすすめします。
たくさんの困難を超えて頂上にたどり着いた時の達成感は格別!安心・安全を心掛けて登山に挑戦してみてはいかがでしょう。

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