視覚障がい者向けのレシピサイト「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」

みなさんは、毎日の料理をどのように作っていますか?
本、サイト、アプリなどのレシピを参考に作っている人もいらっしゃるでしょう。しかし、これらのレシピは、写真や映像などの視覚情報が中心となっており、視覚障がいのある人にとって理解しづらい表現が多いという課題がありました。
そこで今回は、視覚障がい者向けの音声読み上げ機能に特化したレシピサイト「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」をご紹介します。
視覚障がいのある社員(全盲)が実際に本レシピサイトを使って料理に挑戦しました。ぜひ、その体験をご覧ください。

写真:視覚障がいのある女性が鍋を使って料理をしている

「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」とは?

写真:音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPEの赤を基調にしたロゴ 味の素株式会社は、視覚に頼らず料理ができるようWeb上で公開されているレシピを音声情報に変換する取り組みを開始しました。そして、真っ暗闇のエンターテイメントを提供する一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティとの協力のもと、約半年間にわたり視覚障がい者との対話を通じて、料理では聴覚、臭覚、触覚が重要であると発見しました。
本レシピサイトでは、料理大好きな全盲のみきさんのサウンドコラムを聴いて料理を楽しめます。『料理の楽しさや喜び、感動を、もっと多くの人へ届けたい』その想いを込めて、「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を2月19日に公開し、現在103のレシピが公開されています。

視覚障がいがあっても料理が楽しめるレシピサイト

視覚障がいのある社員が実際に「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を利用してハンバーグを作ってみました。
その際に感じた主なポイントは、以下のとおりです。

写真:視覚障がいの男性社員が料理をしている各工程と完成したハンバーグの皿のアップ

ポイント1
音声読み上げ機能を前提としたUI/UX(注)設計!

読み上げの妨げとなる文字やビジュアルは排除され、欲しい情報に最短でアクセスできます。
例えば、「材料」や「調理器具」が一行ずつ個別に区切られていることです。音声読み上げを使っている場合、材料が一つの行にまとめて書かれていることが多く、特定の材料を再確認したい際、その行の最初から最後まで毎回聴き直す必要があり、非常に手間がかかります。本レシピサイトのように一つずつ分けていれば、必要な情報をすぐに見つけて確認できるので、調理中の操作もスムーズだと感じました。

写真:つくり方のスマホ画面とそえを聴いているエプロン姿の視覚障がいの男性社員

(注)UI(ユーザーインターフェース)は、製品やサービスを開発する上でユーザー満足度を高めるために重要な要素、UX(ユーザーエクスペリエンス)はUIの利用後に得られる体験を指します。UI/UXとは、この二つの言葉を組み合わせたものです。

ポイント2
視覚情報に頼らない表現に変換!

一般的に焼き加減の目安で使われる「きつねいろ」「あめいろ」などの表現は、特に全盲の視覚障がい者にとって、わかりにくく不要な情報となります。そのような表現は、全て音に変換!
視覚に依存した説明を省いた本レシピは、文章に含む情報量が少なく、何度も読み返す際のストレスが軽減されているという点も使いやすい点です。

イラスト:音声読み上げの際に読み間違いが発生しやすい標記の変換例。主菜→ぬしな→しゅさいなど。視覚情報に依存して表現をカットした例。きつね色になったらなど。

ポイント3
視覚障がい当事者によるサウンドコラムつき!

みきさんのサウンドコラムは、『焼き始めは、ハンバーグのタネをフライパンに入れると「ピチピチ」と油の跳ねる音と一緒にタネの温まる「シュー」という音。次にハンバーグの焼き上がりが近づくと、「パチパチ」と踊り出すような』といった音で焼き始めと焼き上がりの確認ができました。
今までは火の通り具合を手で触って確認していましたが、サウンドコラムをあらかじめ聴き、参考にすることでハンバーグをひっくり返すタイミングが分かりました。公開されているレシピのうち、料理大好きなみきさんのサウンドコラムは全10点です。

写真:みきさんのサウンドコラム録音風景とサウンドコラムの画面例

会社情報

会社名:味の素株式会社
所在地:〒104-8315 東京都中央区京橋一丁目15番1号
業務内容:食品、アミノ酸、医薬品、化成品の製造・販売など

「味の素「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」HPはこちら(新しいウィンドウが開きます)

ご担当者からのコメント:

写真:味の素の女性社員 料理の楽しさを、一人でも多くの人に届けたい。この願いを胸に、私たちは数々のレシピを発信してきました。しかし、それらがすべての人にとって優しいものであったかというと、そうではありません。レシピの画像や映像は視覚情報として便利ですが、音声読み上げでは情報の妨げになることもあると気づいたのです。
そこで、私たちはレシピ情報を音声に特化させ、視覚障がいのある方々にとって心地よいレシピサイトのあり方を模索しました。
今回の取り組みでご協力をいただいた全盲のみきさんが料理をする姿には、大変心を動かされました。包丁を巧みに操り、鍋の蓋の振動で煮え具合を知る。炒める音の変化を合図に料理を完成させる。視覚に頼らずとも、料理には多くの情報と無限の発見があるのです。音で“みる”料理のコツを、みきさんご本人の声で伝えるサウンドコラムは、晴眼者にとっても新鮮な魅力や気づきに満ちています。

イラスト:編集後記

私はコロナ禍の時に料理に目覚めたのですが、最近ではめっきり料理をしなくなっていました。しかし、本レシピサイトは簡単に料理ができるレシピが多いため、取材後にはまた徐々に料理をするようになりました。
みきさんのサウンドコラムは、ぜひ多くの人に聴いてもらいたいです!
料理中の音の変化などを表現力豊かに分かりやすく説明してくれているため、料理をするのが楽しく感じられるはずです。
車いすユーザの私は今回、肉じゃがとコンソメスープとパンナコッタを作ってみたのですが、冷蔵庫にあったストロベリーソースをパンナコッタにかけ、アレンジしてみました。アレンジは、自分で料理をする人の醍醐味かもしれませんね。ぜひ、みなさんも本レシピサイトで料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?

写真:完成した料理を囲み「いただきます」をする視覚障がい社員と車いすユーザの編集部員

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