障がい者専門の結婚相談所を設立した株式会社「alles liebe」

4月になり、新生活を始めたという人も多いと思います。そして、新しい出会いを期待する人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、障がいのある人の中には、人との出会いを前向きに考えることができない。ましてや結婚となると最初からあきらめてしまっている人も少なくないのが現状です。
そこで、今回は神奈川県相模原市にある障がい者専門の結婚相談所「Challenged Perfect for you(以下、チャレンジド・パーフェクト・フォー・ユー)」を運営する株式会社「alles liebe(以下、アレスリーベ)」社長の青木啓子さんにお話しを伺って来ました。ぜひ、ご覧ください。

写真:事務所前でユリをモチーフにしたロゴの看板前で記念撮影する青木さんと車いすユーザの編集部員

株式会社「アレスリーベ」とは?

障がい者専門の結婚相談所「チャレンジド・パーフェクト・フォー・ユー」と就労B型施設(以下、B型施設)の「アレスリーベ」を運営しています。社名の「アレスリーベ」とは、ドイツ語で「またね」という意味です。最愛の人に贈る言葉で用いられ、ご縁のあった人にそう言ってもらえる場所にしたいという願いから名づけられました。

2022年9月、青木さんが個人事業主として障がい者専門の結婚相談所を設立。2022年11月に法人化した後の昨年8月、結婚相談所とB型施設を併設した事務所をオープンしました。

株式会社「alles liebe」についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

恋愛や結婚を最初からあきらめて欲しくなかった

聞き手: 障がい者専門の結婚相談所を始めたきっかけを教えていただけますか?

青木さん: 私はもともと障がい者施設で12年働いていました。そこでは生活介護とB型施設を運営していて、私はサービス管理責任者として相談ごとを聞くという仕事をしていました。そのとき、利用者から「結婚をしたい」とか「お仕事をしてみたい」という声をよく聞いていたんです。

あるとき、女性たちが「私たちは結婚ができない」「結婚しちゃいけないんだ」「夢の中での恋愛をしている」という話しをしているのを聞いたんです。
「なんでこんなに若いのにそんなふうに思わなきゃいけないんだろう」って、悲しい気持ちになりました。当然、結婚が難しい人はいるのかもしれない。でも、夢を最初から持たないのは寂しすぎるだろうって。そこで、自分で何かしてあげたいなと思ったんです。

写真:笑顔でインタビューに応える青木さん

聞き手: 手応えは感じますか?

青木さん: はい、個人事業主で始めたのですが、問い合わせが結構多くて…。最初は、会わないと信用してもらえないので、その都度相談者に会いに行ってました。1番遠い所だと岐阜県まで行ってました。

その際、前職の後輩が車の運転をしてくれたり、年4回開催している婚活パーティーで1人では手が足りないときはよく手伝ってくれていたんです。今は徐々に会員さんが増え相談所が安定してきたので、一緒に働いてくれています。1人のときより活動が倍にできるので助かっています。

聞き手: 地域を限定しない、障がい者専門の結婚相談所は初めて聞きました。

青木さん: 最初は、逆差別になるんじゃないかと悩みました。けど、「誰でも」だと抽象的過ぎるし、「何を言われてもいい」と思ったんです。障がいのある人たちに知ってもらいたいので、オブラートに隠すのも分かりにくいし、それだと他の結婚相談所と同じになってしまいますから。

始めてみたら、案外障がい者と健常者の成婚率のほうが多かったんです。みなさん障がい者専門って言うと、障がい者同士って思う人が多いかもしれませんが、実際はそうじゃないんです。いろいろな人にご縁を結ぶ活動をしています。

聞き手: 青木さんが「しあわせ」を感じたエピソードを教えていただけますか?

青木さん: 車いすユーザの女性が成婚した時の件です。男性側の家族に猛反対されて、もう難しいのかなって思うくらいだったんです。ところが、男性が「縁を切る」と言って実家を出て、その女性と生活し始めたんです。
少しして、ご両親とその彼女が会ったら、男性のご両親が彼女をべた褒めするようになったんです。
「なんて素晴らしい子なんだ。自分の息子にこんなに素晴らしい人を紹介していただいて」って、私に連絡をくださったんです。

ご両親も2人がしあわせそうに暮らしていれば、それだけでしあわせに感じる。障がいのことなんて、どうでもよくなる。結局、障がいに対する先入観だったのかもしれませんね。

イメー写真:結婚指輪を2人でくっつけ合う手のアップ

聞き手: 最初のカウンセリング方法を教えていただけますか?

青木さん: カウンセリング方法ですが、以前は遠方の人でも対面が多かったんです。けど、この事務所ができてからはオンラインでのカウンセリングが増えました。

聞き手: 障がいってセンシティブな内容ですが、どのタイミングで相手にお伝えするんでしょうか?

青木さん: 見た目で分かる人は、お見合い前にきちんとお伝えします。見た目では分からない人ですと、お見合いをしてもらい、その後の結果を聞いた上で「もう1度会いたい」となったときにお伝えすることが多いですね。結局、その人も先入観を持って会ってしまうとあまり良い結果にならないんです。もちろん、会う前に伝えなきゃいけないタイプの人にはお相手の仲人さんと相談してお伝えしますけど。

聞き手: 障がいによっては、バリアが多くてお見合い自体が難しい人もいますよね。また、イベントも定期的に行われているようですが、どのようなイベントですか?

青木さん: そうですね。例えば筋ジストロフィー(注)の人が対面でのお見合いをしたときは、私たちが付き添いました。盲導犬を連れた人は、お見合い前日にホテルとの事前交渉をしたり、聴覚障がいの人は、声を文字化できるアプリを使用したりしました。付き添いが必要なら別料金で「付添同行」のサービスもあります。

定期的に開催している婚活パーティーの他には、イメージチェンジのイベントを開催しています。そこでは、オプションですけど美容師、カメラマン、メイク、スタイリストさんたちがバックアップしてくれます。先日は、B型施設でマルシェを開催したんですが、パーソナルカラーとかワンポイントメイクのレッスンが好評でした。
まぁ、内容は凝縮しましたけど。ぜひ、そういうイベントも使って、自分磨きしてもらえたらと思います。

(注)指定難病の1つで遺伝性筋疾患の総称。筋力が低下し、運動機能など各機能に障がいをもたらします。

イメージ写真:車いすを押す男性と車いすユーザの女性が楽しそうに街をデートしている

目指すは「福婚アドバイザー」

聞き手: 将来的には、このような活動を全国区に展開していきたいと思われますか?

写真:事務所前でユリをモチーフにしたロゴの看板をバックに正面から見た青木さんと車いすユーザの編集部員青木さん: そうですね。当然、私1人では難しいので仲間を増やしていきたいと思っています。今、「福祉」も「結婚」もという意味合いで「福婚アドバイザー」を作りたいなって思っているんです。
障がいのある人も無い人も結婚したいって気持ちがあれば、それは婚活をするべきだと思っています。
ぜひ、結婚したいって気持ちを大切にしてもらいたいです。「結婚できない」ということはないんです。
それは私がこの仕事をやっていて実感しています。
私たちのようなアドバイザーが背中を押したり、ちょっと引っ張ったりしていきます。結婚したいと思ってくれたら、ぜひ連絡して欲しいです。全力でサポートさせていただきます。

聞き手: 第2の青木さんのような「福婚アドバイザー」が全国に増えることを期待しています。本日は、ありがとうございました。

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