第46回国際福祉機器展 H.C.R. 2019

臨海副都心東京ビッグサイトで福祉機器の国際展示会、第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019(福祉機器展2019)が9月25日(水)から3日間開催されました。アジア最大規模の総合福祉機器展は日本を含め14か国1地域から438社(国内379社、海外59社)の出展社がブースを構え、自治体や公益団体などのブース内に参加している企業・団体も含めると、その数は550を超えます。

写真:第46回 HCR国際福祉機器展のイメージ

今年は例年と違い、東京ビッグサイト西展示ホール・南展示ホールの2か所に分かれ福祉機器の展示物の他に、「国際シンポジウム」「HCRセミナー」「出展社プレゼンテーション」「特別企画」など盛り沢山のイベントが同時開催されていました。
その中から「便利そう、役にたちそう」な展示品を編集部員目線でピックアップしご紹介!また、特別企画の「アルテク講座」についてレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

編集部員が注目した展示品

RETISSA Display(レチサデイスプレー)

写真:眼鏡「RETISSA Display(レチサディスプレー)」をかけているマネキンの様子
株式会社QDレーザが展示した、超小型プロジェクタを使用し、微弱なレーザ光で網膜上をスキャン(走査)することで、網膜に直接映像を投影する技術を活用したヘッドマウント型ディスプレイ。

株式会社QDレーザについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

トヨタの歩行領域EV、車いす連結タイプ

写真:トヨタの歩行領域EVで車いす連結タイプの様子
2020年から2021年にトヨタが販売を目指している、人が歩いて移動するエリアを対象とした「歩行領域EV」。車いすの移動を補助するもので、「立ち乗りタイプ」や「座り乗りタイプ」もラインナップされる予定。
「車いす連結タイプ」は手動車いすのフロント側のフレームに装着し車いすの前輪を浮かせ、歩行領域EVで3輪車状態にして移動するというもの。

toyota歩行領域EVについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

Wheeliy Power Assist(ウィーリィ パワーアシスト)

写真:Wheeliy Power Assist(ウィーリィ パワーアシスト)の様子
株式会社モルテンよりシンプルなデザインはそのままに、電動アシストユニットを組み込んだ車いす。特徴として電動アシストを付けたまま折り畳みすることが可能。

株式会社モルテンについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

Power Cushion(パワークッション)

写真:「Power Cushion(パワークッション)」を装着している車いすの様子
同じく株式会社モルテンより提供しているこちらの商品は「プッシュアップ」と「空気圧調整」を自動的に行うことで、長時間座位時の床ずれの不安を軽減されます。

株式会社モルテンについてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

その他、数々の展示がありました。国際福祉機器展公式サイトよりご確認いただけます。

国際福祉機器展についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

福祉機器展で行われた特別企画「アルテク講座」について

アルテク講座では、身近にあるテクノロジーを自分に合った形で利用し、より楽で便利な毎日を送るための工夫として「障害のある人や高齢の人のテクノロジー活用」と「学校や職場における障害のある人の支援とテクノロジー利用」が紹介されました。その模様をお伝えします。

障害のある人や高齢の人のテクノロジー活用
 -アルテクを楽に使いこなすためのアイデアと工夫-
  講師:渡辺 崇史 氏(日本福祉大学)

写真:講演を行っている渡辺教授の様子
このセミナーでは、専用の機器を作成することより、現在あるものをアイデアと工夫で活用することを説明していました。例えば、さまざまなデバイス(スマートフォン、タブレット)の機能を活用したり、3Dプリンターで自分専用のマウスを作成して機械を動かし、3Dプリンターで作ったジョイスティックを組み合わせ、専用の物ではなく現在あるものを改造して自分が楽になるものを作って利用するといったことです。
片麻痺の人は文字を書くことが大変ですが、同じく書いた文字を消すことも大変です。そこで100円ショップで売っている「ころけし(注)」を使用します。簡単に手に入る物でお金もかかりません。
(注)器具の先のローラを転がし、消しカスを出さずに文字を消す物。

アルテクの基本となる考え方では、利用する人の要望を第一に考えることが重要となってきます。
支援は自分が頑張るのではなく、相手が何を求めているかを知ってから初めて行うものです。
そのため、支援側はコミュニケーションを大事にしながら、支援をする人の姿勢や視線、環境などにも気を配る必要があります。 また、支援をするとき、視点を変えるのが大事です。
例えば本やノートのページをめくる時、現在はたくさんの機器が存在しますが実は本を固定することで本人は自分でページをめくることができます。
その他、パンにバターを塗るとき、パンを固定することで本人が塗りやすくなります。
これが「自分ができる」ことにつながります。改めて、誰のテクノロジーなのか、そのテクノロジーが求められているかを考えるのも支援する側に必要だと訴えていました。

学校や職場における障害のある人の支援とテクノロジー利用
  講師:近藤 武夫 氏(東京大学先端科学技術研究センター)

写真:講演を行っている近藤教授の様子
このセミナーでは、学びや働きの場にテクノロジーがどのような形で取込まれているかが説明されました。
講師の近藤さんから、現在の学校などでは教科書を読むことが困難な児童、生徒がいます。例えば、教科書を手で持ちページをめくることがすごく難しい肢体不自由者の子供。
印刷されたものを読んでといわれても読むのが難しい弱視の子供。
学習障がいといって、目は見えるし、ページをめくることはできるけど印刷されて文字を読むのがすごく難しいという特性のある子供もいます。その子供たちは、なかなかみんなと同じ教育のチャンスに参加することが難しいのです。しかし、デジタルな、アクセシブルな教科書を使用すれば、誰でも学びを受け入れられるはずなのです。また、デジタル化されているので、たとえばフォントを明朝体だと読みにくい人、ゴシックに変えて、文字の大きさを変える。背景の色を変える。音声で読み上げる、ここもアルテクです。
アルテクと配信されるデータが両方組合わさって、かつ学校サイドの方がそういう学び方をする子供たちがいることを知ることによって子供たちの「学び」ができていく。
ただし、現場ではつまずくこともあります。例えば担任の先生がタブレット等、授業中使うのは一人だけ特別になるので認めてくれないということがありました。
また、校長先生はこのようなテクノロジーを使って学ぶことは、本当は本を読めるようになるかもしれないのに、子供の学びのチャンスをつぶしているのではないかという意見もあったのです。
その結果として、教室でなかなか使わせてもらえないことがすごくあります。
大学の学びは、学生本人が何を学びたいかを決めて、かつ自分のテーマとしたことについて、自立的に学びを深めていかなければなりません。できれば他人の手や目を借りたくない内容までに及ぶかもしれません。その応用の例として、音声読上げなどのアルテクを使うことで、銀行口座や雇用条件、給与明細などの情報を自力で得ることができるようになります。
自立できる範囲を広げられるテクノロジーの良さといった内容でした。

また、ある企業では健常者と障がい者でサポーター制度を組んでいます。お互いが得意・苦手を補い一つのプロジェクトを完成させます。例えばデータ入力が得意ですがプレゼンが苦手だとそれぞれが得意な所で力を発揮してもらいます。
またあるテレビ制作会社では人手不足を緩和するため、セットの制作と解体を障がいのある方に行ってもらう超短時間雇用を使用しています。 など、現在の日本型の雇用の特徴を変える必要があります。
人を雇う前に、部署内の業務分析をやって、職務内容と労働時間と給与を先に決める必要があります。
すでにこのような企業が現れています。プロジェクトチームを作って、ショートタイムワーク制度やガイドラインを作成しています。ガイドラインには:
・職務を定義したら、それ以外の仕事は頼まない
・職務に関係ない能力を求めない
・服装の指定はない
・追加で頼まない
その代わり、職務定義内容はしっかり行う

何より周りの人の理解、そういう方法が当たり前のこととして認められる多様な価値観。
多様な働き方、多様なキャリア、生き方、それを中長期的に相談にのって伴走してくれるような人たちが近くにいるということが重要といった内容でした。

第46回国際福祉機器展の概要

写真:福祉機器展、展示ブースの様子 主催:全国社会福祉協議会 保健福祉広報協会
会場:東京ビッグサイト西展示ホール・南展示ホール
会期:2019年9月25日(水)から9月27日(金)
出展数:14カ国、1地域550社の福祉機器約2万点
来場者数:約105,600人
国際福祉機器展についてはこちら(新しいウィンドウが開きます)

イラスト:編集後記

今年も3日間で10万人以上の方が訪れた国際福祉機器展。
たくさんの福祉機器が展示され、福祉機器を使う人の生活をより便利にするため日々さまざまなメーカーが工夫を重ねています。
画期的な物よりも現在ある商品を改善し、より使いやすく工夫されていました。
また、今回は特別企画のセミナーに参加しました。たくさんのアイデアや「気づき」がありました。自分の視線を変えて、もっとシンプルに考えて周りと接すれば良いと気づかされました。

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