視覚障がい者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」について伺いました

視覚障がい者の歩行を手助けする点字ブロック(正式名:視覚障害者誘導用ブロック)、読者の中にも活用されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、点字ブロックの突起が段差となって、高齢者や車いすユーザにとってはバリアとなってしまう場合もあります。
そこで注目を集めるようになったのが、視覚障がい者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」です。中でも「HODOHKUN Guideway(ホドウクン ガイドウェイ)」は国際的なデザイン賞を受賞しています。
今回、「HODOHKUN Guideway」を製造・販売している錦城護謨(きんじょうごむ)株式会社の方にお話を伺いました。

写真:「HODOHKUN Guideway(ホドウクン ガイドウェイ)」が設置されている様子

「歩導くん」とは

写真:視覚障がい者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」を開発したトーワ株式会社から転用。従来の点字ブロックで見られた凸形状を無くし、高齢者や車いすユーザの「つまずき・ひっかかり」を解消。誰もが安心して通行できるよう配慮された製品です。
誘導ブロック(線状ブロック)の代替品として視覚障がい者が考案し、障がい者団体と協力しながら開発されました。2016年には国際的なデザイン賞「iFデザインアワード」(注)ゴールドアワードを受賞しています。

(注)iFデザインアワードとは
ドイツの「iF International Forum Design GmbH」が開催する、世界的3大デザイン賞のひとつ。世界各国から応募された商品やサービスを対象に、独創性や革新性、美しさ、性能、使いやすさ、環境への配慮など、多角的な視点から「外見だけに留まらない高品質のデザインを備えた製品」を選定しています。
2016年度は、53カ国から応募、5,295件のエントリーがあり、ゴールドアワード受賞作品総数75点が選ばれています。

「歩導くん」の特長

認識性
白杖で叩いたときの音や感触の違いと、足裏から伝わる踏み込んだときの感覚で、容易に確認することができます。また、床とのコントラスト比を高めるカラーバリエーションが豊富なため、弱視の方が視覚で確認することも容易です。

通行しやすい
車いすユーザでもスムーズに乗りあがることができるよう、床との境目はほぼフラットです。中央部分の厚みは7mm程度で、床側にむかって緩やかなスロープ状になっています。

施工が容易
既存の床に簡単に設置することが出来ます。また、両面テープで留め置くことが出来るのでイベントなど仮設会場での利用も容易です。

写真:2枚の写真が並んでいる。(左)「歩導くん」の上に車いすのタイヤが乗っている様子。(右)白杖をもった視覚障がい者が「歩導くん」の上を歩いている。

錦城護謨株式会社の概要

  • 本社所在地:〒581-0068 大阪府八尾市跡部北の町1 丁目4番25号
  • 事業内容:工業用ゴム・樹脂製品の製造・販売、自社ブランド土木資材・製品の生産・販売、軟弱地盤改良、水路弾性目地工事の設計・施工・管理、建設機械等の特定自主検査
「錦城護謨株式会社」についてはこちら(新しいウインドウが開きます)

錦城護謨株式会社、開発営業課の阿部さんに伺いました。

聞き手: 「歩導くん」の開発経緯について教えていただけますか?

画像:開発営業課の阿部さんにインタビューしている様子 阿部さん: 「歩導くん」は、島根県のトーワ株式会社によって開発されました。
当時の社長さんが中途で失明し、家族や介助の方の助けがなければ目的の場所へ行くことができないという生活になってしまいました。その後、「せめて屋内だけでも一人で移動できないか」と思うようになり、「歩導くん」の誕生にいたったそうです。
錦城護謨株式会社は、当初代理店のひとつだったのですが、耐久性やメンテナンスの方法について相談を受けるようになって、今では共同で開発から販売まで行っています。

聞き手: そうだったのですね。専門がゴム・樹脂製品のメーカだけあって、よい製品が生み出せるわけですね。
現在、どのような場所で使用されていますか。

阿部さん: 公共施設をはじめ病院などさまざまな屋内施設、約900カ所で使用されています。
また最近では、イベントなどで使う仮設会場での利用も増えてきています。
直近で言いますと、「第17回全国障害者スポーツ大会(愛媛大会)」のサウンドテーブルテニス会場や、「第34回日本身体障がい者水泳選手権大会」の千葉国際水泳場で利用されました。やはり、設置が容易にできることも採用の一端になったのかもしれませんね。

聞き手: 仮設のイベント会場にも設置できる点は、障がい当事者にとってうれしいことですね。しかし、屋内施設だけでなく公道でも使用できるのではないでしょうか?

阿部さん: 「道路交通法」など法令の観点もあり屋内施設での利用に限られています。
屋内での使用については、「バリアフリー法」など法令に接触しないかどうか国土交通省に見解を求め、「問題ない」との回答を頂いています。

聞き手: 設置して利用者からはどのような反応がありましたか。

阿部さん: 設置した大会会場では、車いすユーザの選手から「ガタガタ」と感じることがなく車いすでも通行しやすいと言う意見を頂いています。
公共施設では、ベビーカーがスムーズに操作できるので助かりますといったうれしい意見がありました。また、施設管理者からは、清掃時にポリッシャー機器が使用できるので、耐久性もあり使い勝手がよいと評価を頂いています。

聞き手: 評価と言いますと、国際的なデザイン賞「iFデザインアワード」を受賞されたそうですね。

阿部さん: はい、プロダクト分野のパブリックデザインにおいて日本初のゴールドアワードを受賞しました。
審査員からは「視覚障がい者をあらゆる場所へナビゲートすることができ、かつ他のユーザの懸念に対しても考慮されている。非常にシンプルで良くデザインされた製品だ」と評価されました。

聞き手: 「歩導くん」はとてもシンプルなデザインですが、非常に多くの工夫がなされているのでしょうね。

画像:開発営業課の阿部さんに「ほどうくん」の特長や工夫点について製品を触りながらゆうゆうゆう編集部員2名が聞いている様子阿部さん: 視覚障がい者が認識しやすいような素材や形状を採用しています。また、端がめくりあがりにくいように加工を施したりしています。その他、視覚障がい者以外の方の目的地表示として、表面にトイレなどのピクトグラムを印字することも可能となっています。

聞き手: やはり色々なノウハウや工夫が詰め込まれているのですね。
では最後に、今後の展開について聞かせてください。

阿部さん: やはり、2020年東京オリンピック・パラリンピックで「歩導くん」が貢献できればと考えています。そのため、産学官の連携も始まっているところです。
今後も、だれもが使いやすいユニバーサル商品としてさまざまな施設での利用を進めて行きたいです。

聞き手: 私も「歩導くん」の広がりに期待しています。
今回はどうもありがとうございました。

編集後記

今回「歩導くん」のサンプル品を実際に設置して、車いすユーザの編集部員が体験してみました。
その結果ですが、引っかかったり、乗り越えられないことが多かった点字ブロックと違い、スムーズに通行することができました。また、横断する際車いすが揺れることが少ないので、荷物を持っていてもとても安定感があります。なるほど、誰もが使いやすい福祉機器だと感じました。

写真:4枚の写真が写っている。(左上)白杖をもった視覚障がい者が「歩導くん」の上を歩いている。(右上)「歩導くん」の上をベビーカーが横断している様子。(左下)キャリーバッグを持った人が「歩導くん」を横断している様子。(右下)車いすユーザが介助の人に押されながら「歩導くん」を横断している様子。 視覚障がい者の場合は、全盲と弱視など、個々の見え方によって、「歩導くん」の感じ方が異なります。
例えば、一部の弱視の方は視覚を使って誘導マットを確認します。その点において色の配色は、分かりやすくて使い勝手が良いです。
全盲、もしくは視覚で確認できない弱視の方の場合でも、白杖を振ってみると、マットは少しザラザラした感触があるので確認することができ、認識が容易だと感じました。その他、「歩導くん」が敷設されているとそれに沿って整列するという人間行動学的要素もあるようです。
障がい者のみならず誰もが利用しやすく便利な「歩導くん」が、今後さらに採用されていくことに期待したいです。

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