デフアスリートの挑戦-自転車競技早瀬夫妻に聞く!‐part2‐

前回のpart1では自転車競技を始めたきっかけなどを伺いました。
今回は、ろうの自転車競技日本代表として、数多くの大会に出場している早瀬さんご夫妻だからこそ聞ける、一般のレースに参加して「うれしかったこと」や「自転車競技の面白さ」についてご紹介します。

写真:憲太郎選手が先頭で走るロードレースの様子

聞き手:一般のレースに参加することは苦労もあると思います、これまで参加した大会で、うれしいことなど印象的なことはありますか?

憲太郎:実は、今年の1月に大会主催者の知り合いが、手作りのスタートランプを作ってくださったのです。ろうの陸上競技で使用されているものに似ています。色が変わることで、スタートまでの順番がわかるようになっています。他の自転車競技にも普及し、その使用が当たり前になるといなと思っています。
それと、自転車競技実業団のクラスはアマチュアとして3クラスあり、トップがE1(エリート1)次がE2、そしてE3となっています。始めはE3からスタートし、上位3人が昇格する仕組みになっています。
私は2年前に入り、E3では優勝し昇格したことが一番印象に残っています。この大会でろう者が優勝したのが初めてだったのでそれも含めてうれしかったです。

写真:険しい山道をマウンテンバイクで走る久美選手

久美:4年前のソフィアデフリンピックでは当初はスタッフとしての参加でしたが大会2か月前にマウンテンバイク女子の開催が決まり急遽選手として出場。結果銅メダルを獲得したことが今でもドラマみたいで印象に残っています。
また、自転車競技の女子は参加人数が少なく、大会には元オリンピック選手からアマチュアまで一緒に出場するので、実力の差が大きいです。その中で、ロードバイクは記録がなかなか伸びなかったのですが、この前参加した大会で、トップクラスの選手と途中まで一緒に走れたことが一番嬉しかったです。

聞き手:最後に自転車競技の面白さを教えてください。

写真:手話で語る早瀬ご夫妻の様子

憲太郎:今、実業団クラスのレースに出場していますが、レベルがとても高く全国から強い選手が集まって来ます。
レース中は健聴者とろう者には少し違う面があります。自分では全くわからなかったのですが、ある選手から、健聴の選手は音がとても大事だと聞きました。例えば、後ろの選手の息づかいやギアの切り替えを音で聞いて反応しますが、ろう者の場合は聞こえないので見てからの反応となります。そこには、聞いて判断するより1から2秒の差が生まれてしまいます。その差が結果に大きく影響します。
しかし、聞こえる方からしたらそれはうらやましいそうです。音に頼ることがないため、足の力だけで勝負することができるので、本当に強くなれるからとのことでした。
さらに、健聴者は罵声も聞こえるので、モチベーションが下がってしまいますが、ろうの方は気にすることなくレースに集中できるのでうらやましいそうです。
健聴者と話してみてお互いの違いがわかったことがとても面白いなと思います。

久美:そうですね。練習で、特に下半身を鍛えるための練習方法が他と違っているところは、自転車競技をしていて、面白いと思います。
聞こえない分、ろう者に理解がある監督といろいろ相談して練習を進めていくことが私には楽しく感じますね。

イラスト:編集後記

4年に一度開催されるろう者のためのスポーツ競技大会「デフリンピック」。
障がい者の国際スポーツ競技大会のパラリンピックは、メディアで取り上げられることも多いですが、デフリンピックはまだまだ認知度は低いです。
それでも、日の丸を背負って世界で戦っている選手がいます。インタビューに応じてくれた、早瀬さんご夫妻もその中のお2人です。インタビュー中はデフリンピックにかける熱い想いがものすごく伝わってきました。
「ろうだから危ない」とかいう偏見をなくし、何事にも挑戦していける世の中になってほしいです。また、少しでも、多くの方に知ってもらえるように、「デフリンピック」が広まることを願っています。

イラスト:ロード自転車の赤いシルエットライン。
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イラスト:ロード自転車の赤いシルエットライン。

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