耳の聞こえないスタッフが働く「Silent Cafe」

画像:SILENRcafeのロゴ お買い物やお散歩の途中で、「ちょっとひとやすみ」という気分のとき、ふらりと立ち寄れるカフェがあると嬉しいですよね。
今年4月、どんな障がいがある人でも気軽に入れて、ほっとできるカフェが東京・三鷹にオープンしました。
耳の聞こえないスタッフが接客の最前線で働く、「サイレント・カフェ」というお店です。
一体どんなお店なんでしょうか。

大きな通りに面したお店の入口は、全面ガラス張りで開放的な印象!

入ってみると、白を基調としたナチュラルテイストな空間が広がっています。
棚の上には可愛らしいアクセサリーやキャンドル、キノコの置物などが並べられていて、これらは販売もしているそうです。
通路はゆったり広く、車いすでも楽に通ることができます。
画像:全面ガラス張りの正面入り口の様子 画像:サイレントカフェのメニューが表示されたポスター 画像:棚にアクセサリーが並べられている様子

オーナーの渡邊さまへインタビュー

聞き手:耳の聞こえないスタッフが働くカフェとのことですが、始めたきっかけは何でしょうか?

画像:渡邊オーナーに弊社社員がインタビューしている様子

渡邊:耳の聞こえない人は、声でのコミュニケーションが難しいので、接客業に携わることが少ないんですよね。 うちは敢えて、耳の聞こえないスタッフに接客を任せることにしました。
もともと私は、障がいのない人達が抱いている「障がい者に対する灰色なイメージ」を変えたいという思いがあったんです。
現状だとどうしても、障がい者はかわいそうとか、ネガティブなイメージが付きまとっていると思うんですよね。
それを変えようと考えたんです。

聞き手:お客さまとのコミュニケーション方法はどのように?

画像:A2版のオリジナルのバナナミルクを注文するボードが張り出されている様子

渡邊:カウンターに、筆談のためのボードや紙を用意してあります。
他にも、見てわかる注文方法を工夫しました。
例えば、オリジナルのバナナミルクを注文するボードです(写真)。
ベースドリンクやお好みのフレーバー等を組み合わせるときは、イラストつきのマグネットを動かして、お客さまに示していただきます。

聞き手:手話でコミュニケーションをとることもありますか?

渡邊: 手話を使うお客さまには、もちろん手話で会話をします。
でもここは、「聞こえ」ということを越えて、様々なコミュニケーション方法があって良いんだというカフェですので、一つの方法に統一しないんです。
手話ができない難聴のスタッフもいますし、手話にこだわることはしません。

聞き手: 現在、盲ろう者(視覚、聴覚両方に障がいのある人)を、アルバイトで雇ったとのことですが、そのきっかけは何でしたか?

画像:渡邊オーナーとアルバイトの女性が席にてインタビューを受けている様子

渡邊: お店のパーティーに来てくれたことがきっかけでした。
「社会経験を積みたい」と、本人からアルバイトを希望してきてくれました。
先天性の盲ろう者というのは、就労した前例がないそうです。
難しいかもしれないけれど、受け入れることを決めました。

聞き手:どのような仕事をお願いするのでしょうか?

渡邊: 当面の間は、「接客イベント」に関わってもらおうかと考えています。
点字やPCを使って、メニューのオーダーをしたり、お話したりというイベントを行っていく予定です。
それから、クラウドファンディングみたいな形で、盲ろう者も働けるような環境の模索と、整理に関してのプロジェクトを立ち上げようかなとも考えています。

聞き手: 「ロハスデザイン大賞2012」を受賞されたんですよね。

渡邊: 雑誌「ソトコト」と環境省が後援している、「ロハスデザイン賞」のコト部門で賞をいただきました。
その年のテーマが「ソーシャルデザイン」で、ノミネートしていただけて。
最終的な審査は一般投票になるんですが、1位は2,000票くらいで、なんとサイレント・カフェは1,800票で2位だったんです。
すごく驚きました。
うちのやっていたことが、皆さんの理想とする近未来に重なっていたんだろうと思います。
だからきっと、私たちがすごいことをしているんではなくて、皆さんが考えていることを具体化できたということなんだろうなと。

聞き手: 最後に、今後の展望などを教えてください。

画像:渡邊オーナーとアルバイトの女性が席にてインタビューを受けている様子

渡邊: 先程お話した、盲ろうの方に光を当てたいというのがまずあります。
みんなありのままで、そのままで出てきてほしいし、明るくて素敵なカフェで働いているところを見せたいです。
だから、メディアなどの取材には積極的に応じています。
そのことで、聞こえないスタッフが注目され、本人の自己イメージアップに繋がると思うからです。
それと、このカフェをいろんな方に利用していただきたいです。
飲食としてだけじゃなくて、例えばセミナーや映画の上映会とか、イベントスペースとして使えると思うんですよね。
自由に考えていただいて、自由に使っていただくのがこのカフェかなと考えています。

耳の聞こえないスタッフより

画像:アルバイトの女性に弊社社員がインタビューしている様子 このお店では色々なお客さまにお会いできるので、とても楽しく働いています。
聞こえるお客さま、聞こえないお客さま。コミュニケーション方法も人それぞれなので、それに合わせてコミュニケーションをとります。
画像:アルバイトの女性がメニュー表を提示している様子 でも、コミュニケーション方法は違っても、同じお客さまであることには変わりありません。
なので、特に違いは意識せずに接しています。

店舗情報

住所:〒181-0013 東京都三鷹市下連雀4-17-10
連絡先:080-4062-9203
メール:CafeSilent@gmail.com
営業時間:11:00から19:30(木曜定休日)
※夜は宴会やイベントの予約により営業

「Silent Cafe」についてはこちらから(新しいウィンドウが開きます)

イラスト:編集後記

画像:メニュー「キッシュ」 営業中にお邪魔してしまったにも関わらず、オーナーの渡邊さまは、熱い想いをたくさん語ってくださいました。
取材中に、お会計を筆談で行う様子を拝見できました。
声がないままスムーズにお会計が進み、最後にスタッフから自然に発せられる「ありがとうございました」という手話が、とても温かかったです。
お料理は見た目にもおしゃれで、とってもおいしいですよ。
画像:メニュー「カフェオレとクッキー」静かで温かいひとときを、サイレント・カフェで過ごしてみてはいかがでしょうか?
居心地が良いので、ついつい長居したくなること請け合いです。

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