障がい者の旅行を考える「ユニバーサルツーリズムシンポジウム」【後半】

2016年03月29日掲載

パネルディスカッション

写真:パネラーとパネルディスカッションする様子

パネリスト

  • 関 裕之 JTB全社ユニバーサルツーリズム推進担当マネージャー
  • 吉本浩二  富士通株式会社総合デザインセンター
  • 井出泰済 富士レークホテル代表取締役社長
  • 樋口康記 WHILL株式会社執行役員営業マーケティング本部長
  • 上原大祐 D-SHiPS32代表 パラリンピアン
  • 伴流高志 コーディネーター

第3部のパネルディスカッションではそれぞれパネリストの自己紹介が行われ、続けて障がいのある方が支援機器を利用して新たな旅の楽しみ方や活用方法を提案する事例が報告されました。

内容は、肢体不自由、聴覚障がいのある方と一緒に高速バスを利用して富士レークホテルに宿泊するプランについてです。
パネリストの上原さんと伴流さんの他に、聴覚障がいの方、留学生の方が参加されたそうです。
上原さんは、肢体不自由で車いすを利用しています。
富士レークホテルは山梨県にある河口湖のほとりにあり、体験した当時は雪が積もっていたそうです。
今回、WHILL株式会社から電動車いすを借りました。
通常の車いすでは、雪道などの悪路を走行することは大変困難ですが、提供された電動車いすWHILL ModelAは、スムーズに走行できたそうです。
観光地などは悪路や坂道などが多い場合がありますので、移動支援機器として便利であることが案内されました。

また、聴覚障がいのある方とのコミュニケーションは、富士通株式会社が提供する「Live Talk」を利用しました。
「Live Talk」は、インターネット接続不要で同一無線LANで接続されたパソコンを活用した音声認識ソフトで、会話をリアルタイムでパソコン画面に表示することができます。
複数のパソコンで情報を共有できるので、健聴者は専用マイクに話しかけ、聴覚障がいのある方はパソコンのキーボードで会話を入力します。
このような仕組みで、お互いの意思疎通を図ることができます。

この様子が発表された後、意見交換が行われユニバーサルツーリズムに対するそれぞれの考え方や障害者差別解消法施行への対応状況など、幅広い質疑応答が行われて閉会となりました。

主催者のJTB総合研究所とは

2012年JTB創立100周年に合わせて設立。ツーリズムの拡大と質の転換を基本ビジョンに掲げ、人・もの・こと、の交流にグローバルな視点で向き合い、経済全体に与える影響の分析や消費行動全般の調査・分析・未来動向の予測を通じツーリズムと接点を持つ多種多様なビジネスに貢献しています。

JTBグループのユニバーサルツーリズム

「年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、お客様が安心してご利用いただける旅行会社」を目指し、推進しています。

ユニバーサルツーリズム取組み事例紹介

ルックJTB ハワイで低床構造車両「’OLI’OLIウォーカー」を導入
ハワイのホノルルとマウイ島で滞在中に乗り放題の「’OLI’OLIウォーカー」は、低床構造車両のため、お子様や高齢の方まで、楽に乗降できます。
70歳代におすすめの国内旅行「ゆとり紀行」を発売
体力に自信がない方や一人での旅行が不安な方など、これまで旅行に二の足を踏んでいた方にもおすすめなゆったりとしたスローな旅です。
注)東京発着。
エースJTB厳選のバリアフリーの宿「身体(からだ)にやさしい宿」
車いすご利用の方や足腰が不安な方でも安心してご滞在いただける段差に配慮したお宿を厳選。
また、車いすで乗車可能なタクシーの手配や、身の回りの手伝いや介助をする「トラベルヘルパー」の紹介も可能です。
お客様にやさしいパンフレット作り
見やすくて、わかりやすいパンフレット作りを目指しています。
ルックJTBの一部のパンフレットにユニバーサルフォントを、保険に関するパンフレットや申込書にカラーユニバーサルデザインを採用しています。

イラスト:編集後記

平成28年4月から障害者差別解消法が施行されるのにともない、色々な分野で対応が迫られることになります。
旅行に関しても、今まで障がい者からの意見はマイノリティーな意見として対応が見過ごされがちでしたが、事業者に対し不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供が求められることから、障がい当事者としては改善に向かうのではないだろうかと期待しています。
ただし、障がい当事者も障害者差別解消法を盾にとってすべてが主張できるわけではないので注意が必要です。
パネルディスカッションの中でも取り上げられていましたが、どこまで配慮を求めることができるかは難しいところもありますが、旅先で介助犬の同伴で入店を断られるようなことはなくなるでしょう。
障がいのあるなしに関わらず、すべての人が楽しく旅行できるよう、今回のようなシンポジウムが行われ、理解が進むようになることを期待したいです。

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