3.ロービジョンリハビリテーションの極意

第3回目の今回は、実際に私が行っているロービジョンケアについて述べます。
まず、一番大きな問題点は、視覚に障がいのある患者さんの多くはロービジョンケアの存在すら知らず、経過観察や治療のため、眼科に通い続けておられることです。
また、突然の事故や病気のため失明状態に陥った患者さんは、あまりにも心は打ち砕かれており、到底すぐに福祉行政に相談しようという気持ちにはなりませんので、教育や福祉の窓口を訪ねることはありません。
ですから、このような場合、工夫をすれば、「読み書きができる」、「黒板の字が見える」、「仕事ができる」、「働くことができる」等のメッセージを眼科医療が早期に発信することが肝要で、これが学校や職場への復帰、就労継続につながっていきます。

眼科医療として的確なメッセージを発信するためには、特に、私の経験では、実際に見えることを示すことが一番のようです。私は眼底カメラ(図1)や検眼鏡(図2)を改造して、文字視標を眼底に投射できるものを作りました。

これらを使って私は、患者さんが見えることのできる網膜を捜しだすことができ、そこに文字視標を投影することで、患者さんに見ることを実感していただきました。

眼底カメラ(TRC-NWSS)とその視標 写真 改造検眼鏡(BXαPlus)とその視標

 

「あっ、文字が見える」と言ってくだされば、「もう、こっちのもの」、「しめしめ」と内心でほくそ笑みます。
「そうです。あなたは見ることができます。見えないところで見ていたから見えないのです。見えるところで見れば本は読めますよ。でもそこは正常時と比べれば少し見にくいところなので、文字を大きくしたり、ライトで明るくしたり、コントラストを上げる工夫がいります。この工夫をこれから、あなたと一緒に考えていきましょう」と語りかけます。

これが眼科のロービジョンケア、すなわちロービジョンリハビリテーションの極意です。 このように網膜色素変性、錐体ジストロフィ、視神経萎縮、加齢黄斑変性の患者さんの見える網膜を捜しだし、これを活用できるように訓練していきます。
特に、視覚に障がいのある方々が職場に復帰や継続されるためには

1. 当事者の職場復帰への強い意思と努力
2. 職場での不安の解消
3. 文字処理能力
4. 安全な移動(通勤)
5. 職場環境の改善(コミュニケーション技術)

などが必要です。私はこのために職業リハビリテーションを受けることを勧めています(表1)。

(表1)主な視覚障がい者職業訓練施設
施設名 電話 所在地
国立職業リハビリテーションセンター 042-995-1711 埼玉県所沢市
国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 0866-56-9000 岡山県加賀郡
宮城障害者職業能力開発校 022-233-3124 宮城県仙台市
神奈川障害者職業能力開発校 042-744-1243 神奈川県相模原市
大阪障害者職業能力開発校 072-296-8311 大阪府堺市
福岡障害者職業能力開発校 093-741-5431 福岡県北九州市
社会福祉法人日本ライトハウス
視覚障害者リハビリテーションセンター
06-6961-5521 大阪府鶴見区
社会福祉法人日本盲人職能開発センター 03-3341-0900 東京都新宿区
視覚障害者就労生涯学習支援センター 03-6379-3888 東京都世田谷区
NPO法人トライアングル西千葉 043-206-7101 千葉県千葉市

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